バイクバイクに乗った日は、頭の整理が少し違う

バイクに乗ると若々しく見えるのはなぜだろう

YSPにご来店されるお客様の中には、年齢的に自分たちよりだいぶ先輩となる方も多くいらっしゃいます。

それでもお話をしていると、どこか若々しいと感じることがあります。

もちろん年齢は重ねておられるのですが、

表情が元気だったり、行動力があったり、好奇心が衰えていなかったりする。

これは単なる偶然ではないのかもしれません。

長くバイクに乗っている人を見ると、年齢以上にいきいきして見えることがあります。

その理由は、ただ趣味を持っているから、というだけではなさそうです。

バイクに乗ると心がスッとする理由

バイクに乗ると、走り終わったあとに

「なんだか頭が軽くなった」

と感じることがあります。

これを

「スピードを出すから気持ちいい」

とか

「少しやんちゃに走って気分を発散しているんだろう」

というイメージで語られることもあります。

たしかに、そういうわかりやすい面がまったくないとは言いません。

でも、それだけで説明してしまうのは少し違う気がします。

むしろ長くバイクに乗っている人ほど、速さとは別の理由で気持ちよさを感じていることが多いように思います。

バイクは脳をよく使う乗り物

少し前になりますが、大学で

「バイクに乗るとなぜ若々しく見えるのか」

という研究が行われたことがあります。

東北大学の加齢医学研究所とヤマハ発動機が共同で行った研究で、バイク乗車と脳の働きの関係を調べたものです。

研究では

バイクに乗ると脳の前頭前野が活性化する可能性

が示されています。

前頭前野というのは

・判断

・注意

・行動のコントロール

といった、人の知的な働きを担う部分です。

バイクに乗るときは

路面の状態

周囲の車の動き

コーナーのライン

ブレーキやアクセルの操作

などを常に判断しています。

つまり走っている間、脳はかなり活発に働いているわけです。

研究では、日常的にバイクに乗ることで

・認知機能の改善

・ストレスの軽減

といった変化も見られたそうです。

もちろん「バイクに乗ると若返る」と断言できるものではありませんが、長く乗っている人が若々しく見える理由の一つは、こうした脳の働きにも関係しているのかもしれません。

「今」に集中する時間

バイクに乗っているときは、実は余計なことを考える余裕がありません。

路面の状態

前の車の動き

コーナーのライン

こうしたものに自然と意識が向きます。

つまり頭は

今この瞬間

に集中しています。

仕事のこと

人間関係

悩み事

そういうものが入り込む余地がなくなる。

だから走り終わったあとに、頭の中が整理されたような感覚になるのだと思います。

実際に自分でも感じています

自分自身も、仕事とは関係なしに、できるだけ1日1回はバイクに乗るようにしています。

家と仕事場はかなり近く、歩いて行けるくらいの距離です。

それでも、バイクに乗った日と乗らなかった日とでは、頭の整理のされ方が少し違うように感じます。

うまく言えませんが、サウナでいうところの

「整った」

に近い感覚があるんですよね。

ほんの短い時間でも、バイクに乗ることで頭の中が切り替わる。

これはただ移動しているだけではなく、やはりバイクという乗り物そのものに、そういう力があるのではないかと思います。

身体の感覚が戻る

もう一つ大きいのは、身体の感覚です。

バイクは

傾く

加速する

減速する

体重移動する

という動きを常に身体で感じながら操作します。

普段の生活はどうしても

座る

画面を見る

身体をあまり動かさない

という時間が増えがちです。

その状態から一転して、身体のセンサーを全部使う。

これも人の感覚をリセットしてくれる理由の一つだと思います。

楽器に少し似ているのかもしれません

バイクには、どこか楽器に似ているところがあるのかもしれません。

楽器も、ただ持てば成り立つものではありません。

指を動かし、タイミングを合わせ、強弱をつけ、全体を感じながら細かい操作を重ねて、はじめて音楽になります。

バイクも同じで

視線

バランス

アクセル

ブレーキ

体重移動

周囲の状況判断

といった複数の要素を同時に処理して、はじめて気持ちよく走ることができます。

つまりバイクは、ただ移動するための道具というより

脳と身体を総動員して扱う道具

とも言えるのかもしれません。

ヤマハはバイクだけでなく楽器も作っていますが(※もちろん会社的には別会社ですが)、この二つには少し共通するものがあるようにも思えます。

私は自分で音楽をやるわけではありませんが、上の娘はオペラをやっていて、下の娘も大学でホルンをやっていました。

そうした姿を見ていると、音楽もまた、感覚だけでなく身体や頭をかなり使って成り立っているものなのだろうと感じます。

そういう意味では、バイクも楽器も、

人の感覚や身体をフルに使って成り立つもの

という点で、どこか似ているところがあるのかもしれません。

速さではなく一体感

長くバイクに乗っている人が感じる気持ちよさは、スピードそのものよりも

バイクとの一体感

なのかもしれません。

思ったラインに自然に入る

アクセルを開けるタイミングが合う

身体の動きとバイクの動きが一致する

そういう瞬間があります。

それは必ずしも速く走る必要はありません。

ゆっくり走っていても、感覚が合ったときに

「あ、気持ちいい」

と感じることがあります。

だから長く続く

バイクは便利な乗り物というより、

感覚の乗り物なのかもしれません。

速さだけが魅力なら、多くの人は長く続かないでしょう。

でも

心がスッとする

身体の感覚が戻る

自然を感じる

そういう時間があるから、また乗りたくなる。

だからバイクは、ただ速いだけの乗り物ではないのかもしれません。

頭を使い、身体を使い、自然の中を走る。

その時間があるから、また乗りたくなる。