小さいバイクやスクーターは、本当に下に見られているのか

小排気量のバイクやスクーターに乗っている方と話していると、時々、どこか肩身の狭さのようなものを感じることがあります。

「自分のは125ccだから」
「スクーターだから本格的なバイク乗りとは言えないかも」
「大型の人たちと一緒だと、少し気が引ける」

そんな空気を感じることがあります。

でも、実際のところ、大きいバイクに乗っている人たちは、そこまで小排気量車やスクーターを否定しているのでしょうか。

私の感覚では、意外とそうでもないように思います。

むしろ大型バイクに乗っている人ほど、

「小さいバイクもいいよね」
「近場用に一台ほしい」
「スクーターは便利でうらやましい」
「125ccで気軽に走れるのは楽しそう」

そんなふうに見ていることも多いのではないでしょうか。

大型バイクには大型バイクの魅力があります。
余裕のある加速、長距離での安定感、所有する満足感、存在感。
これは確かに大きな魅力です。

ただ、その一方で、大型バイクに乗っている人は、大きいバイクの大変さもよく知っています。

重い。
取り回しに気を使う。
少し出かけるだけでも準備がいる。
タイヤも高い。
車検もある。
保管場所にも気を使う。

だからこそ、小さいバイクやスクーターの気軽さが分かるのです。

「ちょっとそこまで」が楽にできる。
細い道にも入りやすい。
街中で扱いやすい。
維持費も抑えやすい。
日常の中で自然に使える。

これは、大きいバイクにはない立派な魅力です。

排気量は、上下ではなく性格の違い

これは犬で考えると分かりやすいかもしれません。

うちには6歳のマルプーがいます。(ベルちゃんといいます。)

小さくて、かわいくて、家の中で一緒に過ごすには本当にちょうどいい存在です。
では、ゴールデンレトリバーのような大きな犬と比べて、うちのマルプーが劣っているのかというと、もちろんそんなことはありません。

ゴールデンレトリバーには、ゴールデンレトリバーの良さがあります。
賢く、穏やかで、頼もしく、一緒に外で遊ぶ楽しさがある。

マルプーには、マルプーの良さがあります。
小さくて、家族との距離が近くて、毎日の暮らしの中に自然に溶け込んでくれる。

どちらが偉いかではありません。
魅力の種類が違うだけです。

バイクも同じではないでしょうか。

125ccには125ccの良さがあります。
スクーターにはスクーターの良さがあります。
250ccには250ccの扱いやすさがあります。
大型には大型の余裕があります。

本来は、どちらが上か下かではなく、使い方や楽しみ方が違うだけです。

ところがバイクの場合は、排気量という数字がはっきり見えます。
50cc、125cc、250cc、400cc、大型。
免許制度も階段のようになっています。

そのため、知らないうちに、

「大きいほど上」
「小さいものは通過点」
「いつかは大型」

という見方になりやすいのかもしれません。

でも、バイクの楽しさは排気量順に並ぶものではありません。

実際よりも、自分が気にしている場合もある

心理学でいうと、これは「スポットライト効果」に近いものかもしれません。

スポットライト効果とは、自分が思っているほど他人は自分のことを見ていないのに、本人は「見られている」「評価されている」と感じやすい心理です。

小さいバイクで大型バイクの集まりに行くと、

「自分だけ小さいから浮いているのでは」
「スクーターだから下に見られているのでは」
「本格的なライダーと思われていないのでは」

と感じることがあるかもしれません。

でも実際には、周りの人はそこまで気にしていないことも多いのです。

むしろ、

「それ便利そうですね」
「近場ならそれが一番ですよね」
「楽しそうですね」

と思っていることもある。

つまり、他人の目が厳しいというより、
自分の中にある「排気量が大きいほど上」という物差しが、自分を苦しくしている場合もあるのだと思います。

言う側は軽くても、言われる側には重いこともある

もちろん、バイク乗り同士の会話の中で、少し引っかかる言葉が出ることもあります。

「大型にも乗ってみなよ」
「やっぱりハーレーはいいよ」
「一回リッターに乗ったら違うよ」

こういう言葉です。

言っている側は、おそらく悪気がないことも多いと思います。
自分が好きなバイクの楽しさを、軽い気持ちですすめているだけ。
今乗っているバイクを全否定しているつもりはない。

でも、言われる側が小排気量やスクーターに少しでも引け目を感じていると、その一言は違って聞こえます。

「今のバイクではダメだと言われた」
「自分の選択を下に見られた」
「バイク乗りとして認められていない」

そんなふうに受け取ってしまうことがある。

言った側は、すすめたつもり。
言われた側は、否定されたと感じる。

このズレは、意外と大きいのだと思います。

だから、すすめる側も少しだけ気をつけた方がいいのかもしれません。

「大型に乗らないと分からないよ」

ではなく、

「今のバイクもいいけど、大型にはまた別の楽しさがあるよ」

と言えば、受け取り方はずいぶん変わります。

「スクーターも便利で最高だけど、ハーレーのゆったり感も一回味わってみてほしい」

こう言えば、今のバイクを認めた上で、別の楽しさを紹介している言葉になります。

バイクの世界では、すすめたつもりの一言が、相手には否定された言葉として届くことがあります。
だからこそ、排気量やジャンルの話をするときは、まず相手のバイクの良さを認めることが大切なのだと思います。

小さいバイクだから、卑屈になる必要はない

小排気量車やスクーターに乗っている人が思っているほど、周りはそれを否定していないのではないでしょうか。

むしろ、大きいバイクに乗っている人ほど、小さいバイクの気軽さや便利さを分かっていることもあります。

もちろん、大型バイクには大型バイクの世界があります。
一度乗ってみることで分かる楽しさもあります。

でも、それは小さいバイクが劣っているという意味ではありません。

大型には大型の良さがある。
小排気量車には小排気量車の良さがある。
スクーターにはスクーターの良さがある。

ただ、それだけのことです。

うちのマルプーが、大きな犬と比べて下ではないように、バイクも排気量だけで偉さが決まるものではありません。

軽くて、気軽で、日常に近くて、すぐ乗れる。
それは小さいバイクやスクーターの大きな魅力です。

そして、そのバイクで楽しく、安全に、長く走れているなら、それは十分に立派なバイクライフだと思います。

少なくとも、YSP大分のお客様で一緒にツーリングに行く方々の中で、

「排気量が小さいからダメ」
「スクーターはバイクじゃない」

そんな言葉を、私は一度も聞いたことがありません。

もちろん、世の中にはいろいろな人がいます。
確率で言えば、どこかには意地悪な見方をする人もいるのかもしれません。

でも、多くのバイク乗りは、そこまで冷たく見ていないのではないでしょうか。

むしろ、

「それもいいですね」
「近場なら便利そうですね」
「その楽しみ方もありですね」

という感覚の人のほうが多いように思います。

大きなバイクで遠くへ行く楽しさもあれば、
小さなバイクで気軽に走る楽しさもある。
スクーターで日常の中に自然にバイクを取り入れる楽しさもある。

どれが上で、どれが下という話ではありません。

自分の暮らしに合っていて、無理なく乗れて、乗るたびに少し気分が良くなる。
それなら、そのバイクはその人にとって十分にいいバイクなのだと思います。

排気量という数字に、必要以上に縛られなくていい。
自分のバイクを、自分がまず「これでいい」と思えること。

そこから、もっと楽しいバイクライフが始まるのではないでしょうか。