
バイクを選ぶ時、実際にまたがってみることはとても大切です。
カタログには、シート高、車両重量、全幅、全長などの数字が書かれています。
もちろんそれらは大事な情報です。
でも、数字だけでは分からないことがあります。
足つきはどうか。
車体は大きく感じるのか。
ハンドルは遠いのか。
重さは怖くないのか。
自分の体に合いそうなのか。
こういうことは、実際にバイクに体を合わせてみないと分かりません。
ただし、ここで大事なのは、またがった瞬間の第一印象だけで判断しすぎないことです。
店頭でバイクにまたがると、多くの方がまず足つきを見ます。
「思ったより高いな」
「つま先しかつかないな」
「これで支えられるかな」
これは自然な感覚です。
止まっている時に不安があると、バイクそのものが怖く感じます。
ただ、バイクは足を地面につけたまま走る乗り物ではありません。
走り出せば、足はステップに乗ります。
つまり、バイクショップでまたがった時に見るべきなのは、足つきだけではありません。
止まっている時に支えられるか。
走り出した時に自然な姿勢になりそうか。
この両方を見ることが大事です。
足つきは「どこまで届くか」より「どうつくか」
足つきの話になると、どうしても、
「両足がつくか」
「つま先なのか」
「かかとまで届くのか」
「シート高は何ミリなのか」
という話になりがちです。
もちろん、それも大事です。
足がまったく届かなければ不安ですし、車体を支えるのが難しくなります。
ただ、足つきで本当に大事なのは、どこまで足が届くかだけではありません。
それより大事なのは、どう足をつくかです。
バイクは、停車時に必ず両足でまっすぐ支えるわけではありません。
実際には、片足を地面につき、反対側の足をステップに乗せたまま支える場面も多くあります。
この時、片足をステップに置いておくことで、下半身の位置が決まりやすくなります。
車体を少し自分側へ預けやすくなり、地面についた足にも力を入れやすくなります。
逆に、無理に両足を地面につこうとすると、足が左右に開き、腰がシートに残ったままになりやすいです。
特にシート幅のあるバイクでは、足先は地面に届いていても、いざ車体が少し傾いた時に踏ん張りにくいことがあります。
つまり、足つき確認で見るべきなのは、
両足がどこまで届くかではなく、片足でしっかり支えられる形を作れるか。
ここです。
ここを見ずに、ただ「高い」「低い」だけで話をしてしまうと、どこまで行っても同じ議論になります。
足つきが悪い。
シートを下げる。
ローダウンする。
でも今度は乗り味が変わる。
それでも不安が残る。
また足つきの話に戻る。
そうではなく、まず考えたいのは、
そのバイクで、自分が安定して止まれる形を作れるか。
足がどこまで届くかより、足をどうつくか。
ここを知っているだけで、バイク選びの見方はかなり変わると思います。
片足地面、片足ステップで支える
停車時の安定感という意味では、両足を中途半端につくよりも、片足を地面につき、反対側の足をステップに置く方が、しっかり支えられることがあります。
片足をステップに置くと、下半身の位置が決まります。
腰の位置も作りやすくなります。
車体を少し自分側へ預けることもできます。
その状態で、地面についた足でしっかり踏ん張る。
この形を作れるかどうかが大事です。
バイクの足つき確認は、両足をぶら下げて「どこまで届くか」を見るだけではありません。
片足で確実に支えられるか。
反対側の足をステップに置いた時に、車体を安定させられるか。
ここを見てほしいのです。
もちろん、初心者の方にとって両足が地面に届く安心感は大きいと思います。
そこを否定するつもりはありません。
ただ、バイクに慣れてくると、両足を中途半端につくより、片足+ステップの方が支えやすい場面があることも知っておいてほしいと思います。
正しい基準を知らないと、選べるバイクが狭くなる
足つきの基準を知らないままバイクを見ると、
「自分は足が届かないから、この手のバイクは無理」
「結局、自分が乗れるのはシートの低いバイクだけ」
「背の高いバイクは全部無理」
と決めてしまうことがあります。
もちろん、シートの低いバイクにはシートの低いバイクの良さがあります。
低重心で安心感がありますし、街中での取り回しがしやすい車種も多いです。
ただ、本当は他のタイプのバイクも扱える可能性があるのに、両足を地面に下ろした時の感覚だけで「これは無理」と判断してしまうのは、少しもったいないと思います。
バイクは、両足を地面につけたまま乗るものではありません。
走り出せば、足はステップに乗ります。
停車時も、片足を地面につき、反対側の足をステップに置いて、車体を少し自分側へ預ける。
その姿勢の方が、しっかり支えられることがあります。
その基準を知らないまま足つきを見ると、どのバイクにまたがっても、
「高い」
「つま先しかつかない」
「自分には無理」
という判断になりやすいです。
でも、正しい支え方を試してみると、印象が変わることがあります。
片足ならしっかりつく。
ステップに足を置くと体の位置が決まる。
車体を少し預ければ思ったより安定する。
走る姿勢にするとハンドルの位置も自然に感じる。
こういうことは、実際に試してみないと分かりません。
大事なのは、無理をすることではありません。
自分に合わないバイクを我慢して乗ることでもありません。
ただ、正しい基準で試す前から「これは無理」と決めてしまわないこと。
そこを、店頭で一緒に確認できればと思います。
特にオフロードバイクは、両足ベッタリを基準にしない
特にオフロードバイクは、この考え方が大事です。
オフロードバイクにまたがると、多くの方が、
「シート高いですね」
「両足だとつま先ですね」
「これは足つきが厳しいですね」
と言われます。
でも、それはある意味、当たり前です。
オフロードバイクは、サスペンションのストロークを長く取り、地面とのクリアランスを確保し、荒れた路面を走れるように作られています。
そのため、シート高はどうしても高くなります。
低く作ってしまえば、オフロードバイクとして必要な性能が成り立ちにくくなります。
ですので、オフロードバイクで「両足がしっかりつくかどうか」を基準にすると、ほとんどの方が不安になると思います。
というより、オフロードバイクで両足がかかとまでしっかりつく人は、かなり限られます。
そこを基準にしてしまうと、ほとんどのオフロードバイクが「足つきが悪いバイク」になってしまいます。
大事なのは、両足がどこまで届くかではありません。
片足を地面につき、反対側の足をステップに置き、車体を少し自分側へ預けた時に、しっかり支えられるか。
ここです。
オフロードバイクにまたがって、
「シート高いですね」
「両足だとつま先ですね」
となるのは、ある意味では普通です。
そこで終わるのではなく、
では、自分はどう足をつけば安定するのか。
片足+ステップで支えた時にどう感じるのか。
そこを試してほしいと思います。
写真やシート高の数字だけで判断すると、必要以上に怖く見えることがあります。
でも、実際に片足で支える形を作ってみると、
「あれ、思ったより支えられる」
「両足でつま先より、片足の方が安定する」
「ステップに足を乗せると、バイクの姿勢が分かる」
ということもあります。
オフロードバイクを、両足がどこまで届くかだけで判断すると、本来見るべきところを見逃してしまいます。
ハンドルの高さも、地面に足をついた状態だけで見ない
店頭でまたがった時に、よくある感想があります。
「ハンドルが低いですね」
「ちょっと遠いですね」
「前傾がきつそうですね」
もちろん、その感覚も大切です。
ただ、その時の姿勢を見てみると、両足を地面についたまま、シートにどっかり座って、そこから腕だけを伸ばしてハンドルに手を置いていることがあります。
この状態だと、ハンドルが低く感じたり、遠く感じたりするのは自然です。
なぜなら、バイクは基本的に、足をステップに置いた状態で、体の位置、腕の角度、ハンドルの高さが合うように作られているからです。
地面に足をついている姿勢は、バイクを支えている姿勢です。
走っている時の姿勢とは少し違います。
走り出せば、足はステップに乗ります。
ステップに足を置くと、骨盤の位置が変わります。
上半身の角度も変わります。
腕の届き方も変わります。
すると、地面に足をついていた時には「低い」「遠い」と感じたハンドルが、ステップに足を乗せると自然に感じることもあります。
ですので、ハンドルの高さや遠さは、両足を地面についた状態だけで判断しない方がいいと思います。
できればスタッフに車体を支えてもらって、一度ステップに足を乗せた状態も確認してみてください。
シートはソファーではなく、姿勢を作る場所
バイクにまたがると、つい椅子やソファーに腰かけるような感覚で、シートにどっかり座ってしまうことがあります。
でも、バイクのシートは、ただくつろぐための場所ではありません。
走るための姿勢を作る場所です。
足をステップに置き、下半身で軽く体を支え、腕に力を入れすぎず、ハンドルには自然に手を添える。
この姿勢になって、初めてそのバイク本来のポジションが見えてきます。
もちろん、ツーリングバイクやスクーターのように、リラックスして座る要素が強いバイクもあります。
それでも、アクセル、ブレーキ、ハンドル操作をする以上、ただ座っているだけではなく、体を使って操作する乗り物であることに変わりはありません。
セパレートハンドルにも意味がある
特にスポーツバイクやセパレートハンドルのバイクでは、またがった瞬間に、
「ハンドルが低い」
「前傾がきつそう」
と感じることがあります。
でも、セパレートハンドルは、ただ低くしているわけではありません。
頭の位置、上半身の位置、前輪への荷重、曲がる時の姿勢を作りやすくする意味があります。
バイクは、ハンドルだけで曲がっているわけではありません。
頭の位置や上半身の位置、ステップへの荷重も、曲がりやすさに関係します。
頭が後ろに残ったままだと、フロントタイヤに荷重が乗りにくく、曲がり始めが分かりにくいことがあります。
逆に、足をステップに置いて、頭と上半身が自然に少し前へ入ると、前輪の接地感や、バイクが曲がり始める感覚が分かりやすくなることがあります。
つまり、ハンドルの高さや遠さも、足を地面についた状態だけで判断するものではありません。
ステップに足を乗せた時、そのハンドル位置がどう感じるか。
そこを見ることが大切です。
レバーやペダルに無理がないかを見る
またがった時には、足つきやハンドルだけでなく、操作系も見てください。
ブレーキレバーに自然に指が届くか。
クラッチレバーを無理なく握れるか。
アクセルを開け閉めする時に手首が苦しくないか。
ブレーキペダル、シフトペダルに足が自然に届くか。
このあたりは、実際に走り出した時の安心感に関係します。
レバーやペダルの位置は調整できるものもあります。
ですので、少し違和感があっても、すぐに「合わない」と決める必要はありません。
ただ、どこに違和感があるのかを知っておくことは大切です。
重さは、数字だけでは分からない
車両重量も気になるポイントです。
ただ、これも数字だけでは分かりません。
同じ重量でも、重心の高さ、ハンドルの切れ角、シートの幅、足つきによって、感じ方はかなり変わります。
またがった状態で車体を少し起こした時、重く感じるのか。
左右に少し傾いた時に怖いのか。
ハンドルを切った時に不安があるのか。
こういう感覚は、実際にまたがってみないと分かりません。
ただし、店頭で車体を大きく揺らしたり、無理に起こしたりするのは危険です。
確認したい時は、必ずスタッフに声をかけてください。
またがる時は、まずスタッフに声をかけてください
ここまで、またがった時に何を見るかを書いてきましたが、実際に店頭でバイクにまたがる時には、マナーも大切です。
まず、必ずスタッフに声をかけてください。
店頭に並んでいるバイクは商品です。
特に新車は、これからどなたかの大切な一台になる車両です。
スタッフに声をかけていただければ、車体を支えたり、周囲の安全を確認したりできます。
その方が、お客様にとっても安心です。
「またがっても大丈夫ですか?」
「足つきを見てもいいですか?」
そう言っていただければ、こちらも安全に確認できるようにお手伝いします。
またがる時は、足を大きく振り上げない
バイクにまたがる時、意外と気をつけたいのが足の動きです。
つい足を大きく振り上げてまたごうとしてしまう方もいますが、これがけっこう危ないことがあります。
靴やブーツのかかとが、シートカウル、サイドカバー、ウインカー、バッグステーなどに当たってしまうことがあるからです。
特に店内では、バイク同士の間隔がそれほど広くない場合もあります。
またがる時だけでなく、降りる時に隣のバイクに足が当たってしまうこともあります。
おすすめは、足を勢いよく振り上げるのではなく、膝を少し曲げて、足をコンパクトにたたむように、ゆっくりまたぐことです。
足先を大きく回すというより、膝からそっと越えるようなイメージです。
体が硬い方や、足を高く上げるのが不安な方は、無理に一気にまたがろうとしなくても大丈夫です。
一度シートの上に膝を軽く置くようにして、そこで動きを止め、バランスを確認してから、ゆっくり反対側へ足を降ろす方法もあります。
大事なのは、勢いでまたがらないことです。
ゆっくり、コンパクトに、車体や隣のバイクに足を当てないように確認しながらまたがる方が安全です。
降りる時も同じです。
隣のバイクや外装に足が当たらないよう、ゆっくり確認しながら降りてください。
まずは、正しい基準で試してみる
バイクにまたがった時、最初に出てくる感想はどうしても足つきです。
「高い」
「つま先しかつかない」
「これは無理かも」
そう感じるのは自然です。
ただ、その前に一度考えてほしいのは、その見方が正しい乗り方を前提にしているかどうかです。
両足を地面に下ろして、シートにどっかり座って、腕だけを伸ばしてハンドルを見る。
その姿勢で「足つきが悪い」「ハンドルが遠い」「前傾がきつい」と判断してしまうと、本来の姿とは違って見えることがあります。
バイクは、足を地面についたまま走る乗り物ではありません。
走り出せば、足はステップに乗ります。
停車時も、必ず両足で支えるわけではありません。
片足を地面につき、反対側の足をステップに置いて、車体を少し自分側へ預ける。
その方が、しっかり支えられることもあります。
だから、まずは正しい基準で試してほしいのです。
片足を地面につく。
反対側の足はステップに乗せる。
車体を少し自分側へ預ける。
地面についた足でしっかり踏ん張れるかを見る。
そのあと、両足をステップに乗せた時の本来の乗車姿勢を見る。
ここまでやって初めて、そのバイクが自分に合うかどうかが見えてきます。
お店で試してほしいのは、そこです
足つきの話は、数字だけ見てもなかなか分かりません。
シート高が何ミリ。
車重が何キロ。
足つきがいい、悪い。
そういう情報は参考にはなります。
でも本当に大事なのは、自分の体で、どう足をついて、どう車体を支えられるかです。
これは実際にまたがってみないと分かりません。
だからこそ、気になるバイクがあるなら、お店で実際にまたがって試してみてください。
もちろん、またがる時は必ずスタッフに声をかけてください。
スタッフが支えますので、片足を地面についた状態、片足をステップに置いた状態、両足をステップに乗せた時の本来のポジションなども確認できます。
バイクショップでまたがる意味は、ただ足が届くかを見ることではありません。
自分の体で、そのバイクを扱える形を作れるかを確認すること。
そこをぜひ見てほしいと思います。
最後に
バイクにまたがることは、バイク選びの大切な確認です。
ただし、またがった瞬間の印象だけで、
「足がつかないからダメ」
「ハンドルが低いから無理」
「前傾だからきつい」
と決めてしまうのは、少し早いかもしれません。
足を地面についた状態と、ステップに足を乗せた状態では、体の位置が変わります。
シートにどっかり座った姿勢と、走るための姿勢も違います。
足つきは「どこまで届くか」だけではなく、どう足をついて、どう車体を支えるかの話です。
その基準を知らないままバイクを選ぶと、本当は乗れるはずのバイクまで、選択肢から外してしまうことがあります。
だからこそ、バイクショップでまたがる時は、ぜひ足つきだけでなく、走らせる前提で見てみてください。
止まっている時の安心感。
走っている時の操作しやすさ。
片足で支えた時の安定感。
ステップに足を乗せた時の本来の姿勢。
その両方を見て初めて、自分に合うバイクかどうかが分かってくると思います。
まずは、正しい基準で試してみる。
そこからバイク選びを始めてみてはいかがでしょうか。