1969年生まれ、バイク漫画と一緒に育った

好きなバイク漫画は何ですか?
こういう話をすると、たぶん世代によって出てくる作品がずいぶん違うんでしょうね。
自分は1969年生まれ。
振り返ってみると、ちょうどバイクに興味を持ち始めるころから、いろいろなバイク漫画をリアルタイムで読んできました。
そして考えてみれば、漫画から受けた影響って、かなり大きかったような気がします。
小学生のころ読んだ『鉄のドンキホーテ』
かなり昔の記憶になりますが、小学生のころに読んでいたのが『鉄のドンキホーテ』。
少年ジャンプに連載されていたモトクロス漫画です。
連載自体はそれほど長くなかったと思いますが、当時モトクロスが好きだった友達と一緒に読んでいました。
作者は、のちにあの『北斗の拳』を描く原哲夫さん。当時はまだ無名だったはず。
今考えると「なるほど」と思うのですが、ライバルチームの人たちがとにかく怖かった。
まさに後の『北斗の拳』に出てきそうな雰囲気です。
小学生だった自分はそれをかなり真に受けていて、
「プロのモトクロスの世界って、こんな怖い人たちがいるところなのか……」
と思っていました。
漫画ですから当然かなり誇張されているのですが、子どものころって、漫画の世界と現実の境目が今ほどはっきりしていなかったんですよね。
『風を抜け!』は途中まで自分の物語だった
そして、自分にとって特に思い入れがあるのが『風を抜け!』です。
これはモトクロスを題材にした漫画ですが、自分が読んでいたころ、主人公が自分とほぼ同年代の設定で物語が進んでいました。作者は村上もとか、「JIN-仁」や「六三四の剣」で有名ですね。
しかも自分自身もモトクロスをやっていた。
だから途中までは、本当に自分のことのような感覚で読んでいました。
主人公がレースをして、少しずつ上へ行って。
自分も同じようにレースをしている。
もちろん現実と漫画は違うのですが、
「次はどうなるんだろう」
というより、
「自分もここまで行けるだろうか」
みたいな感覚で読んでいたように思います。
ただ、途中から主人公の成長にこちらが追いつかなくなってきます。
そして最後にはスーパークロスチャンピオン。
まあ、そこまで行ったら自分だけじゃなく、ほとんど誰も追いつけません(笑)。
当時は日本人がスーパークロスなんて夢のまた夢でしたが、今なら下田丈選手はかなり近いかもですね。
でも、自分と主人公の時間が途中まで並んで進んでいたような感覚は、今でもよく覚えています。
『バリバリ伝説』もリアルタイムだった
そして外せないのが『バリバリ伝説』。
これもリアルタイムで読んでいました。作者はしげの修一 イニシャルDでも知られています。
峠から始まって、やがて本格的なロードレースの世界へ。
モトクロスをやっていた自分にとって、『風を抜け!』が比較的身近な世界だったとすれば、『バリバリ伝説』は少し違う世界への憧れだったのかもしれません。
速いバイク。
峠。
サーキット。
レーサー。
今のようにYouTubeを開けば世界中のレース映像がいくらでも見られる時代ではありません。
雑誌やテレビ、そして漫画の中から、
「バイクってこんなに面白いんだ」
「こんな世界があるんだ」
と想像を膨らませていた時代です。
『ふたり鷹』も面白かった
『ふたり鷹』も好きでした。エリア88の新谷かおるが書いてます。
同じロードレースを扱っていても、『バリバリ伝説』とはまた違う。
レースだけではなく、人間関係や宿命のようなものまで絡んでくる。
耐久レースが題材というのも面白かった。
あのころのバイク漫画って、単に
「バイクが速い」
「バイクがかっこいい」
だけではなかった気がします。
バイクに乗ることが、その人の人生そのものになっていく。
少々大げさなくらい熱いのですが、こちらも若かったので、その熱さをそのまま受け取っていました。
漫画がバイクへの入口だった時代
こうして振り返ると、自分たちの世代にとって、漫画はかなり重要な「バイクへの入口」だったのではないでしょうか。
漫画を読んで、
このバイクに乗りたい。
レースをやってみたい。
峠を走ってみたい。
いつか大型バイクに乗りたい。
そんなことを考えた人も多かったと思います。
実際に漫画に出てきたバイクが欲しくなった人もいたでしょう。
そして何より、
「バイクに乗るって面白そうだ」
と思わせてくれた。
これは結構大きなことだったんじゃないでしょうか。
今の若い人は、何を見てバイクに憧れるのだろう
一方で、今はずいぶん時代が変わりました。
YouTube、Instagram、TikTok。
MotoGPや海外のレースも、走行動画も、ツーリング動画も簡単に見ることができます。
昔、自分たちが漫画を読んで想像していた世界を、今なら実際の映像として見ることができる。
そう考えると、今の若い人にとっては、漫画ではなくSNSや動画が、昔のバイク漫画と同じ役割をしているのかもしれません。
それでも、漫画だからこそ伝わるバイクの面白さもあるような気がします。
実際にはありえないくらい速かったり、ありえないくらい怖いライバルが出てきたり(笑)。
でも、それも含めて夢中になれたんですよね。
あなたの一冊は何ですか?
自分にとっては、
『鉄のドンキホーテ』
『風を抜け!』
『バリバリ伝説』
『ふたり鷹』
このあたりは、バイクそのものの思い出とかなり重なっています。
特に『風を抜け!』は、途中まで主人公と一緒に自分も成長しているような、不思議な感覚で読んだ作品でした。
皆さんはどうでしょう。
好きだったバイク漫画は何ですか?
そしてもうひとつ。
その漫画を読んだことで、
「このバイクに乗りたい」
「レースをやってみたい」
「バイクって面白そうだ」
と思ったことはありませんでしたか?
もしかすると、好きなバイク漫画を聞くと、その人がどんなふうにバイクを好きになったのかまで分かるのかもしれません。
皆さんをバイクに近づけた一冊、ぜひ教えてください。

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