
ソロツーリングが好きな方は、やはり多い
コメントを見ていると、ソロツーリングが好きな方はやはり多いように感じます。
もちろん、マスツーリングにはマスツーリングの良さがあります。
仲間と一緒に走る楽しさ、目的地での会話、同じ景色を共有できる楽しさ。ひとりでは行きにくい場所へ行ける安心感もあります。
ただ、ソロツーリングには、またまったく別の良さがあります。
誰にも合わせなくていい自由
誰にも合わせなくていい。
休憩するタイミングも、昼食の場所も、帰る時間も自分で決められる。
予定していた道をやめてもいいし、気になった道に入ってもいい。
疲れたら帰ってもいいし、道の駅で何もせずにぼーっとしてもいい。
ソロツーリングの楽しさは、単に「ひとりで走ること」ではなく、少しだけ日常から離れて、自分ひとりの時間に戻れることなのかもしれません。
バイクに乗る形をした“大人のひとり時間”
大人になると、仕事でも家庭でも地域でも、何かしらの役割があります。
店では店の顔があり、家庭では家庭の顔があり、人と一緒にいれば、どうしても相手のことを考えます。
それが悪いということではありません。
むしろ、それが普通の大人の生活だと思います。
でも、たまには誰にも合わせず、誰かの予定にも縛られず、ただ自分のペースで走る時間があってもいい。
ソロツーリングは、バイクに乗る形をした、大人のひとり時間なのだと思います。
ソロツーリングは、ひとりで入る喫茶店に少し似ている
ソロツーリングは、少しだけ「ひとりで入る喫茶店」に似ている気がします。
誰かと待ち合わせをしているわけでもなく、急いで食事を済ませるためでもない。
ただ好きな席に座って、コーヒーを飲みながら、少しぼーっとする。
周りには人がいても、その時間は自分だけのものです。
ソロツーリングも同じで、道の駅で缶コーヒーを飲む時間や、温泉の休憩所で少し横になる時間が、妙に心に残ることがあります。
有名な観光地へ行ったかどうかより、自分だけの時間を過ごせたかどうか。
そこにソロツーリングの良さがあるのかもしれません。
ある雨の日、SR400で走り出した話
私自身も、少し前にそんな時間がありました。
たまたま休みがあり、家族も留守。
せっかくだからと、SR400で少し走りに出ました。
天気は、少し雨。
どこへ行くとも決めず、とりあえず走り出します。
大きな目的地を決めたわけでもなく、誰かと待ち合わせをしているわけでもありません。
時間に追われることもないので、なんとなく気になった道へ入っていきます。
走っていたのは、どちらかと言えば“酷道”に近いような山道の県道でした。
道幅は狭く、路面もきれいとは言えない。
マスツーリングなら、たぶん選びにくい道です。
参加者の台数、技量差、休憩場所、昼食、帰着時間。
いろいろ考えると、案内する側としてはかなり気を使います。
ところが、ひとりなら話は別です。
自分のペースで走ればいい。
無理なら引き返せばいい。
止まりたければ止まればいい。
目的地のないツーリングだから残る記憶
そんなことを考えながら走っていると、道の先に鹿がいました。
こちらを見て、鹿も少し止まる。
こちらも止まる。
しばらく、妙なにらみ合いのような時間がありました。
そのあと鹿は、ひょいひょいと崖を登っていきました。
何か特別な観光地へ行ったわけではありません。
有名な景色を見たわけでもありません。
でも、そういう場面が妙に記憶に残ります。
結局その日は、道中にあった温泉に入り、休憩所で少し横になって一休みしました。
マスツーリングの楽しさ、ソロツーリングの気楽さ
マスツーリングの時は、どうしてもツアーコンダクターのようになります。
次の休憩場所はどこか。
全員そろっているか。
ペースは速すぎないか。
遅れている人はいないか。
昼食の時間は大丈夫か。
帰着は遅くならないか。
もちろん、それはそれで楽しいです。
みんなで走るツーリングには、みんなで走る良さがあります。
でもその日のSR400でのソロツーリングは、まったく違う良さがありました。
少し雨が降っていて、道も決して走りやすいわけではなく、特別な目的地があったわけでもない。
それでも、なんかよかった。
たぶん、ソロツーリングの良さはそこなのだと思います。
予定通りに進むことではなく、
誰かに合わせることでもなく、
有名な場所へ行くことでもない。
ただ、自分のペースで走って、気になったところで止まって、疲れたら休む。
その時間の中で、少しだけ自分に戻れる。
それがソロツーリングの魅力なのかもしれません。
ひとりで走るからこそ、準備しておきたいこと
ただし、ひとりで走るということは、自由な反面、何かあった時の最初の判断も自分でするということでもあります。
だからこそ、ソロツーリングでは少しだけ準備をしておきたいところです。
ロードサービスやレッカーの連絡先はすぐ出せるように
まず確認しておきたいのは、トラブル時の連絡先です。
ソロツーリング中にバイクが動かなくなった場合、最初に頼りになるのは、任意保険に付帯するロードサービスや、JAF、メーカー系のロードサービスです。
特にヤマハ車にお乗りの方であれば、クラブヤマハロードサービスへの加入は強くおすすめしたいところです。
もちろん、購入店やかかりつけのバイク店に相談していただくことはできます。
ただし、お店に連絡をいただいたからといって、すぐに現場まで引き取りに行けるとは限りません。
YSP大分でも、営業時間中の作業予定やスタッフ体制、積載車の空き状況、現場までの距離によっては、
「今からすぐ行きます」
という対応が難しい場合があります。
営業時間外や遠方、山間部でのトラブルであれば、なおさらです。
だからこそ、ソロツーリングに出る前に、
・どこのロードサービスに連絡するのか
・何kmまで搬送できるのか
・搬送先は自宅なのか、販売店なのか
・営業時間外でも受付できるのか
・自分のバイクが対象になっているのか
このあたりを確認しておくことが大切です。
普段はあまり気にしない部分ですが、山道や知らない場所でバイクが動かなくなった時、これを把握しているかどうかで落ち着き方がかなり変わります。
お店は、搬送後の修理や受け入れ先としては大切な存在です。
しかし、現場で最初に頼るべきなのは、基本的にはロードサービスです。
ソロツーリングでは、**「困ったらお店に電話」だけではなく、「まずロードサービスに連絡できる状態にしておく」**ことが大切だと思います。
事故や転倒時の連絡先も確認しておく
事故や転倒があった時の連絡先も大切です。
家族、保険会社、職場、かかりつけのバイク店。
スマホの緊急連絡先設定を使って、ロック画面から連絡先がわかるようにしておくのも良いと思います。
また、万が一の時に備えて、自分がどの保険に入っているのか、証券番号や連絡先がどこにあるのかも確認しておくと安心です。
特にソロツーリングでは、事故の直後に冷静に判断できるとは限りません。
普段なら簡単に思い出せる連絡先でも、転倒直後や動揺している時には、すぐ出てこないことがあります。
だからこそ、事前にスマホへ登録しておく。
保険会社やロードサービスの連絡先を、すぐ見られる場所に入れておく。
それだけでも、かなり安心感が違います。
出発前に見ておきたいバイクの基本点検
ソロツーリング前には、バイク側の確認もしておきたいところです。
タイヤの空気圧。
タイヤの傷や摩耗。
チェーンのたるみ。
オイル量。
灯火類。
ブレーキの効き。
燃料残量。
スマホの充電環境。
どれも特別なことではありません。
でも、ひとりで走る時ほど、こういう基本的な部分が大切になります。
特にソロの場合、知らない道や山道で止まってしまうと、思った以上に不安になります。
「まあ大丈夫だろう」ではなく、
「止まらないようにしておく」。
それも、ソロツーリングを楽しむための準備だと思います。
大型バイクで怖いのは、倒したあとに起こせないこと
そして、大型バイクでソロツーリングに行く時に意外と怖いのが、立ちゴケや転倒後に起こせないという場面です。
平地であれば、なんとか起こせるという方もいると思います。
しかし、これが坂道になると話は大きく変わります。
特に怖いのは、坂道でバイクを倒してしまい、下り坂側に倒れてしまった時です。
平地なら足場を作って、体重を使いながら起こせる場合でも、下り側に倒れてしまうと、バイクの重さがさらに逃げる方向へかかります。
足元も踏ん張りにくく、無理に起こそうとすると、自分の体を痛めたり、さらにバイクを滑らせたりする危険もあります。
モトクロスやオフロード車であれば、状況によってはバイクを引きずって向きを変え、起こしやすい角度にしてから起こすこともあります。
しかし、アスファルト上で重量のある大型バイクとなると、そう簡単にはいきません。
車重もありますし、カウルやハンドル、マフラー、ステップなどを傷める可能性もあります。
何より、無理に引きずったり持ち上げたりして、自分が腰や膝を痛めてしまっては大変です。
たまたま近くに人がいれば助けてもらえるかもしれません。
でも、ソロツーリングでは、山道や早朝、交通量の少ない場所を走ることもあります。
そういう時に、すぐ誰かが来てくれるとは限りません。
走る技術だけでなく、停める場所を選ぶ技術
だからこそ、ひとりで走る時は、停める場所にも少し気を使いたいところです。
ここで止まっても安全に出られるか。
足元は砂利ではないか。
傾斜でバイクが谷側に倒れないか。
Uターンできるだけの余裕があるか。
特に山道では、
・下り坂の途中で不用意に止まらない
・路肩の傾斜や砂利を見てから停める
・谷側にバイクを傾けない
・Uターンは広くて平らな場所を選ぶ
・不安な道は、入る前に引き返す判断をする
こうしたことが大切になります。
写真を撮りたい時も、景色だけでなく、停めやすさと出しやすさを考える。
細い道に入る時も、無理なら引き返せる場所を残しておく。
ソロツーリングでは、走る技術だけでなく、止める場所、向きを変える場所を選ぶ技術も大事なのだと思います。
疲れたら休む、無理なら帰る
そしてもうひとつ大事なのは、無理をしない判断です。
疲れたら休む。
眠気が出たら止まる。
天気が怪しければ引き返す。
暗くなる前に帰る。
ソロツーリングでは、誰もペースを作ってくれません。
だからこそ、自分の体力や集中力を自分で見ておく必要があります。
せっかく出かけたから、もう少し先まで。
ここまで来たから、あそこまで行きたい。
そう思う気持ちはよくわかります。
でも、バイクは帰り道まで含めてツーリングです。
帰ってから片付けをして、次にまた気持ちよく乗れる状態にしておくところまで含めて楽しめると、ソロツーリングはもっと余裕のあるものになると思います。
ソロツーリングは、自由と準備のバランス
ソロツーリングは、誰にも合わせず、自分のペースで楽しめる、とても魅力的なバイクの楽しみ方です。
ひとりで走るからこそ、気づく景色があります。
ひとりだからこそ、記憶に残る出来事があります。
ひとりだからこそ、少しだけ自分に戻れる時間があります。
ただ、ひとりだからこそ、トラブル時の連絡先や最低限の点検、停める場所の選び方は大切になります。
準備があるからこそ、安心してひとりの時間を楽しめる。
ソロツーリングは、自由と準備のバランスが大切なのだと思います。