その他・雑談バイクは「買える」だけでは所有できない、日本の住宅事情と、バイク置き場の現実

バイクを買う時、多くの方がまず考えるのは、車種、排気量、価格、足つき、デザイン、使い方だと思います。

このバイクでツーリングに行きたい。
通勤に使いたい。
昔から憧れていたモデルに乗りたい。

そんな気持ちでバイクを選ぶ時間は、とても楽しいものです。

しかし、実際にバイクを所有するとなると、もうひとつ大きな問題があります。

それは、

そのバイクを、どこに置くのか。

という問題です。

お金がある。
免許もある。
買いたいバイクもある。

それでも、安心して置ける場所がなければ、バイクを所有することは意外と難しい。

これは、日本の住宅事情の中で、かなり大きな問題ではないかと思います。

バイクは「置ける」だけでは足りない

バイクの保管に必要なのは、ただスペースがあることだけではありません。

雨をしのげること。
風をしのげること。
紫外線を避けられること。
そして、盗難の可能性をできるだけ下げられること。

この条件を満たして、初めて「安心して保管できる」と言えるのではないでしょうか。

ところが日本の住宅では、この条件をすべて満たせる場所は、意外と少ないように感じます。

戸建てであっても、実際にはクルマの横、カーポートの端、玄関脇、家の裏側、ブロック塀とのすき間などに、なんとかバイクを押し込んでいるケースも多いと思います。

中には、ハンドルが入るか入らないかの狭いすき間に、毎回気を使いながら出し入れしているという話も聞きます。

もちろん、そこに置けるなら、置き場としては成立しているのかもしれません。
しかし、出し入れのたびに車体をこすりそうになる。
ミラーやハンドルが当たりそうになる。
カバーがかけにくい。
ロックもしにくい。
メンテナンスもしにくい。

そうなると、それは本当に「保管できている」と言えるのか、少し考えてしまいます。

戸建てでも、スペースが足りるとは限らない

これは私自身の家でも感じることです。

我が家には、カブが2台、自転車が2台、通勤用のXTZ125が1台、そして車が2台あります。

一見すると、戸建てでそれなりにスペースがあるように見えます。
実際、まったく置けないわけではありません。

ただ、雨をしのげる場所に限ると、途端に厳しくなります。

カーポートの下、玄関まわり、家の横、車のすき間。
どこかに置くことはできても、雨に当てず、風を避け、紫外線を防ぎ、盗難対策まで考えると、理想的な場所はなかなかありません。

さらに、バイクや自転車が増えると、普段の生活動線にも影響します。

車を出す時に気を使う。
荷物を運ぶ時に邪魔になる。
玄関まわりが狭くなる。
洗車や整備の道具も増える。

自分たちはバイクが好きなので、それほど気にならない部分もあります。
しかし、もし家族の中にバイクへまったく興味のない人がいれば、これはかなりのストレスになるかもしれません。

バイク好きにとっては「大切な愛車」でも、家族から見れば「場所を取るもの」「動かしにくいもの」「生活動線をふさぐもの」に見えることもあります。

ここも、バイクを所有するうえで見落としがちな現実だと思います。

集合住宅はさらに難しい

マンションやアパートの場合は、さらに難しくなります。

そもそもバイク置き場がない。
あっても台数が少ない。
原付までしか想定していない。
大型車は置けない。
屋根がない。
空き待ちになっている。
盗難対策は自己責任。

こういうケースも多いのではないでしょうか。

自転車置き場はあっても、バイク置き場はない。
クルマの駐車場はあるけれど、バイクを置く場所は別に考えられていない。

日本では、バイクはどうしても「クルマ」と「自転車」の中間のような扱いになりやすい気がします。

クルマほど大きな駐車場は必要ない。
でも、自転車置き場に簡単に置けるほど小さくもない。
そして、重量もあり、エンジンもあり、盗難リスクもある。

この中途半端な立ち位置が、バイク置き場問題を難しくしているのだと思います。

バイクは乗っていない時間のほうが長い

バイクは走っている時間ばかりに注目されがちです。

でも実際には、乗っていない時間のほうが圧倒的に長い乗り物です。
週末に数時間乗るだけなら、それ以外のほとんどの時間は、自宅や駐車場で保管されていることになります。

だからこそ、保管環境はとても大切です。

雨ざらしになれば、ボルト、チェーン、ブレーキまわり、電装部分などに少しずつ影響が出ます。
直射日光が当たり続ければ、シート、タイヤ、樹脂部品、ゴム部品、塗装、ステッカーなどが劣化していきます。
風が強い場所では、バイクカバーがバタつき、タンクやカウル、スクリーンに細かい傷が入ることもあります。

つまり、バイクの保管場所は、単なる「置き場」ではありません。

バイクを傷めないための場所であり、
盗難から守る場所であり、
乗りたい時に気持ちよく出せる場所でもあります。

奥にしまい込めばよい、というわけでもない

ただし、守ることばかりを考えて、家の奥の奥にしまい込んでしまうと、今度は出すのが面倒になります。

車を動かさないと出せない。
自転車や荷物をどかさないと出せない。
ハンドルを何度も切り返さないと出せない。
一度出したら、戻すのもまた大変。

こうなると、せっかくバイクがあっても「今日はやめておこう」となりやすくなります。

バイクは、思い立った時に乗れることも大切です。

天気がいいから少しだけ走ろう。
夕方に1時間だけ乗ろう。
エンジンだけかけて調子を見よう。
空気圧だけ確認しよう。

こういう気軽さがあるから、バイクとの距離が近くなります。

保管場所は、奥に隠せばよいというものではありません。

守れることと、出しやすいこと。

この両方がそろって、初めて良い保管場所と言えるのだと思います。

バイクカバーは最低限の対策。でも万能ではない

屋外保管でまず思いつくのが、バイクカバーです。

雨やほこり、紫外線を防ぎ、車種を外から分かりにくくするという意味でも、カバーは最低限の対策になります。

何もかけないよりは、明らかに良いと思います。

ただし、カバーをかけていれば安心というわけではありません。

風が強い日には、カバーがバタつきます。
その状態でカバーの内側がタンク、カウル、スクリーン、ミラー、フェンダーなどにこすれると、細かな傷が入ることがあります。

一度で大きな傷になるというより、何度も何度もこすれることで、うっすら曇る、細かい線傷が入る、艶が落ちる。
そういうことが起きる場合があります。

特に、カバーの内側に砂ぼこりが入っていると、守っているつもりが、逆に外装をこすってしまうこともあります。

そういう時に有効なのが、インナーカバーです。

外側のカバーで雨や紫外線を防ぎ、内側の柔らかいカバーで擦れ傷を減らす。
大切なバイクをきれいに保ちたい方には、二重カバーという考え方もあります。

ただし、濡れたまま二重にカバーをかけると湿気がこもりやすくなります。
洗車後や雨の後は、できるだけ乾いた状態でカバーをかけること。
時々カバーを外して、空気を通すこと。
これも大切です。

盗難対策も「家に置いているから安心」ではない

バイクの保管でもうひとつ大きいのが、盗難対策です。

家の敷地内に置いているから安心、というわけではありません。

特に道路から見える場所に高価なバイクを置いている場合、車種が分かる、置き場所が分かる、生活パターンも読まれる可能性があります。

盗難対策で大切なのは、

見えにくいこと。
近づきにくいこと。
動かしにくいこと。
盗むのに時間がかかること。

だと思います。

地球ロック、複数ロック、センサーライト、防犯カメラ、車種が分かりにくいカバーなど、できることを重ねることで、リスクを下げることはできます。

もちろん、完全に盗難の可能性をゼロにすることは難しいかもしれません。
しかし「このバイクを盗むのは面倒だ」と思わせることは、とても大切です。

コンテナ型保管という選択肢もある

最近では、コンテナ型のバイク保管スペースやレンタルガレージを借りる方法もあります。

雨、風、紫外線、盗難対策という意味では、自宅の屋外保管より優れている場合もあります。
高価なバイク、旧車、限定車、複数台所有の方には、とても良い選択肢だと思います。

ただし問題は、そこまで行かないとバイクに乗れないことです。

自宅から徒歩圏内なら良いですが、車で行かなければならない距離になると、気軽さはかなり失われます。

さらに、その保管場所に車を停める駐車場がなければ、もうひと手間かかります。

バイクを出すために車で保管場所まで行く。
でも、車をそこに置いておく場所がない。
そうなると、誰かに一緒に来てもらい、車を乗って帰ってもらわなければならない場合もあります。

そして走り終わったら、今度はバイクを保管場所に片付ける。
そのあと、また迎えに来てもらう。

ここまで必要になると、バイクに乗ること自体が、かなり大きな段取りになってしまいます。

今日は少しだけ乗ろう。
夕方に1時間だけ走ろう。
空気圧だけ見よう。
洗車だけしよう。

こういうことが、すべて「予定」になってしまいます。

保管場所としては良くても、バイクとの距離が遠くなりすぎると、乗る機会そのものが減ってしまうこともあります。

バイクは、守ることも大切です。
でも、乗り出しやすいことも同じくらい大切です。

自分にとって無理のない大きさか

もうひとつ大切なのは、自分にとって取り回しに無理のない大きさかどうかです。

走り出してしまえば問題なくても、自宅での出し入れが大変すぎると、バイクに乗るまでのハードルが一気に上がります。

特に、保管場所が狭い場合。
少し傾斜がある場合。
車の横をすり抜ける必要がある場合。
何度も切り返さなければならない場合。

こういう環境では、車両の重さや大きさがかなり負担になります。

昔から、ドラッグスターのようなクルーザー系のバイクは、デザインがとてもきれいで、女性のお客様にも選ばれることがありました。

ただ、数年後に「売りたい」とご相談いただき、査定をさせていただいたら、走行距離が15キロほどしかなかった、ということもありました。

おそらく、購入して家まで乗って帰り、その後はほとんど乗れなかったのではないかと思います。

これは女性に限った話ではありません。
男性でも同じようなことはあります。

バイクそのものが悪いわけではありません。
選んだ方が悪いという話でもありません。

ただ、自宅で出し入れする時に重すぎる。
保管場所が狭くて怖い。
倒したらどうしようと思う。
一度しまうと、次に出す気になれない。

そうなると、せっかく気に入って買ったバイクでも、乗る機会がどんどん減ってしまいます。

バイクは走っている時だけでなく、押す、引く、向きを変える、しまう、出す。
そのすべてを含めて、自分が扱えるかどうかを考える必要があります。

本当に大切なのは、カタログ上のスペックだけではありません。

自分の体格、体力、保管場所、生活環境の中で、無理なく付き合えるバイクかどうか。

ここまで含めて選ぶことが、長く楽しむためには大切だと思います。

バイク選びは、保管場所選びから始まっている

バイクを選ぶ時、排気量やデザイン、足つき、価格、性能はもちろん大切です。

でも実際には、

自宅に無理なく置けるか。
出し入れがしやすいか。
雨や紫外線を防げるか。
風で倒れたり、カバーが暴れたりしないか。
盗難対策ができるか。
乗りたい時にすぐ出せるか。

こういう部分も、バイク選びの大切な条件だと思います。

大きなバイクが悪いわけではありません。
高価なバイクが悪いわけでもありません。

ただ、自分の保管環境に対して大きすぎる、重すぎる、高価すぎるバイクを選んでしまうと、所有してからの負担が大きくなることがあります。

ハンドルがギリギリ通る場所に毎回押し込む。
カバーをかけるだけでも大変。
出すのが面倒で、だんだん乗らなくなる。
傷や盗難が気になって、安心して置けない。

そうなると、せっかくのバイクライフが少しもったいない気がします。

バイクは、買った瞬間だけのものではありません。

乗る時間。
しまう時間。
眺める時間。
整備する時間。
家族との生活空間の中で、どう共存するか。

そのすべてを含めて、バイクを所有するということなのだと思います。

だからこそ、バイクを買う前に、

このバイクをどこに置くのか。
どう守るのか。
無理なく出し入れできるのか。

ここまで考えておくことは、とても大切です。

バイク選びは、もしかすると保管場所選びから始まっているのかもしれません。

皆さんは、ご自宅や駐車場でバイクをどのように保管されていますか?
「これは便利だった」「ここが困っている」「こういう工夫をしている」など、皆さんの保管方法のお話はありますか?