バイク購入バイク免許を取りたいのに、すぐ自動車学校に入れない? 調べてみると「教える側」の事情が見えてきた

最近、お客様と話していて、少し気になることがあります。

「バイクの免許を取りたいけれど、自動車学校になかなか入れない」

そんな話を以前より聞くようになった気がするのです。

先日もお客様から、

「今は夏休みで普通車の教習が多いので、二輪は2〜3か月先になると言われた」

という話を聞きました。

もちろん、すべての自動車学校がそんなに待つわけではありません。

実際、お店に来られるお客様を見ていると、「これから免許を取りに行きます」と聞いてから、それほど長くかからず取得している方もいます。

そして、自動車学校に通われている方に話を聞くと、

「二輪免許を取る人は多いですよ」

という話も聞きます。

では、本当にバイク免許を取る人が増えすぎて、自動車学校がいっぱいになっているのでしょうか。

ちょっと気になったので調べてみました。

実は、二輪免許を取る人は増えていない

まず意外だったのがこれです。

警察庁の指定自動車教習所の卒業者統計を見ると、普通二輪と大型二輪の卒業者は、2021年をピークに減っています。

2021年は、

普通二輪 約21万5千人
大型二輪 約9万1千人

でした。

それが2025年には、

普通二輪 約16万8千人
大型二輪 約6万7千人

まで減っています。

これだけを見ると、

「やっぱりバイク免許を取る人も減っているんだ」

となります。

ところが、もう少し長い期間で見ると印象が変わります。

2016年の普通二輪+大型二輪の指定教習所卒業者は約23万5千人。

2025年も約23万5千人。

実は、ほとんど同じなのです。

つまり2020〜2022年あたりに二輪免許取得者が一度大きく増え、その山が落ち着いて元の水準に近づいてきた、と考えたほうがよさそうです。

「10年前と比べて、バイク免許を取る人がものすごく減った」

というわけではありません。

それなら、自動車学校で「二輪を取る人は多いですよ」と言われるのも、それほど不思議ではありません。

減っているのは、むしろ「教える側」だった

一方、明らかに減っているものがあります。

教習指導員です。

警察庁の統計では、全国の教習指導員は、

2016年 32,167人
2025年 28,715人

となっています。

約11%減です。

同じ期間で二輪の卒業者数がほぼ変わっていないことを考えると、

「教わる人は10年前とそれほど変わらないのに、教える人は1割ほど減っている」

ことになります。

これなら最近、

「予約が取りにくい」

「すぐには入校できない」

という話が出てくるのも分かる気がします。

さらに2026年7月に閣議決定された政府の規制改革実施計画にも、かなり興味深い内容がありました。

教習指導員不足や働き方改革への対応によって、特に繁忙期を中心に、自動二輪車や大型自動車などで教習受付の一時停止、予約の取りにくさ、入校から卒業までの長期化が起きている教習所がある、とされています。

つまり、これは特定の地域だけで起きている話ではないようです。

国も問題として認識しているわけです。

なぜ特に「二輪」が影響を受けやすいのか

ここで考えなければならないのが、二輪教習の特殊性です。

普通車の教習をしている先生が、

「今日は二輪が混んでいるから、午後からバイクを教えて」

と言われて、すぐ担当できるわけではありません。

二輪を教えるには、その車種に対応した指導資格が必要です。

ですから教習所全体に指導員が何十人いたとしても、二輪については、

「実際に二輪を担当できる指導員が何人いるのか」

が重要になります。

私は普段、二輪教習の様子を目にする機会が比較的多いのですが、見ている範囲では、担当している先生はある程度限られているように見えます。

もちろん正式な担当人数を確認したわけではありませんし、時間帯によって別の先生が教えている可能性もあります。

ただ、いろいろな先生が次々と入れ替わって二輪を担当している、というようには見えません。

もし二輪を担当できる先生が少人数であれば、一人が休んだときの影響はかなり大きくなります。

例えば3人が2人になれば、単純計算で33%減。

2人が1人なら50%減です。

教習所全体から見れば一人の欠員でも、二輪部門だけを見ればかなり大きな戦力ダウンになってしまいます。

二輪指導員って、かなり大変な仕事では?

そして教習の様子を見ていていつも思うのですが、二輪の先生はかなり大変そうです。

夏は炎天下。

冬は寒い。

雨の日にも教習があります。

コースをバイクで走りながら教えることもあれば、コース脇に立って、何人もの教習生の動きを見ながら大きな声で指示を出しています。

しかも相手は、まだバイクを十分に扱えない人たちです。

エンストする。

転倒する。

ブレーキ操作を間違える。

アクセルを思った以上に開けてしまう。

400ccの教習車なら、車重は200kg近くあります。

倒れた車両を起こす場面もあるでしょう。

普通車の教習なら、危険な状況になったとき、助手席の指導員が補助ブレーキを踏むことができます。

でもバイクはそうはいきません。

教習生が操作を間違えて走り出してしまえば、離れたところにいる先生が直接ブレーキを掛けて止めることはできません。

声を掛けながら、本人に正しい操作をしてもらわなければならない。

しかも一人だけを見ているわけではありません。

考えてみれば、かなり神経を使う仕事です。

個人的な印象では、二輪を担当している先生には比較的若い方が多いようにも見えます。

これも統計を確認したわけではありませんので、あくまで私が見ていて感じることです。

ただ、真夏の炎天下を考えれば、体力的にもかなり厳しい仕事なのは間違いないでしょう。

昔より「休み」が増えている気もする

もう一つ、以前からなんとなく感じていたことがあります。

「あれ?今日も教習所は休みなんだ」

と思う日が、昔より増えたような気がするのです。

これも全国すべての自動車学校を比較したわけではありません。

ただ、政府資料には教習指導員不足とあわせて「働き方改革への対応」が明確に挙げられています。

ここも大きいのでしょう。

昔なら繁忙期に、

「教習生が増えたから残業で対応する」

「休日にも出勤してもらう」

「夜まで教習を増やす」

といった方法で吸収していた部分もあったのかもしれません。

でも今はそうはいきません。

時間外労働には上限があります。

有給休暇もきちんと取ってもらわなければなりません。

休みを増やすこと自体は、当然悪いことではありません。

むしろ二輪教習の様子を見ていると、

「この仕事で昔と同じような長時間労働を続ける方が危ないのでは」

とも思います。

炎天下や雨の中で身体を使いながら、初心者が乗るバイクの安全管理をする。

指導する側が疲れ切っていては、安全にも影響しかねません。

最近の暑さは、昔とは違う

そして、ここ数年の猛暑も無視できないと思います。

私たちが若い頃にも、もちろん真夏は暑かった。

でも最近の35℃、36℃、時にはそれ以上という気温の中で、一日中屋外に立って教習するというのはかなり過酷です。

2025年からは職場での熱中症対策も強化されています。

そう考えると、

「夏休みで教習生が増えたから、二輪の先生にも朝から晩まで教えてもらおう」

という運用は、今の時代には難しいでしょう。

普通車ならエアコンの効いた車内で教習できます。

二輪はそうではありません。

夏休みに普通車を取りたい学生が一気に増える。

教習所全体の指導員もそちらに必要になる。

二輪担当者の勤務時間にも限界がある。

となれば、二輪の新規受け入れ人数を一時的に減らすという判断になるのも理解できます。

二輪教習は、安全面でも簡単に人数を増やせない

最近、九州の自動車学校でも二輪教習中の重大事故がありました。

もちろん、その事故を理由に全国の教習所が二輪の受け入れ人数を減らしている、と言うつもりはありません。

そこまでの因果関係は確認できません。

ただ、二輪教習という仕事が、安全管理の面で非常に難しいことは確かだと思います。

一人の指導員が、

「今日は人数が多いから、いつもの倍の生徒を見ます」

というわけにはいきません。

普通二輪もいる。

大型二輪もいる。

初めてバイクに乗る人もいる。

卒業検定を目前にした人もいる。

一本橋をやっている人もいれば、急制動やスラロームを練習している人もいる。

それぞれ速度も技量も違います。

安全を考えれば、一人の指導員が一度に見られる人数には当然限界があります。

指導員が減ったからといって、一人当たりの教習生を無制限に増やすことはできません。

となれば、

「無理して受け入れる」

のではなく、

「安全に教習できる人数までしか入校させない」

という判断になる。

それはむしろ、教習所として当然なのかもしれません。

「二輪人気で混んでいる」だけではなかった

ここまで調べてみて、最初に思っていたこととは少し違う答えが見えてきました。

最近、二輪免許が取りにくく感じるのは、

「バイク免許を取りたい人が急増しているから」

だけではなさそうです。

二輪免許を取る人は、コロナ禍のピークからは減っています。

しかし10年前と比べれば、それほど大きく減ってはいません。

その一方で、教習指導員は減っています。

二輪を教えられる人は、その中でもさらに限られます。

働き方改革によって、昔のように長時間労働や休日出勤で繁忙期を乗り切ることも難しくなりました。

夏の暑さも昔とは違います。

そして二輪教習は、安全面から考えても、一人の先生が無制限に多くの教習生を見ることはできません。

つまり、

「習いたい人が多すぎる」

というより、

「教えられる側のキャパシティーが以前より細くなっている」

という面が大きいのではないでしょうか。

教習所側からすれば、

「二輪を取りたい人が多いから断っている」

のではなく、

「安全に教えられる人数しか受け入れられない」

ということなのだと思います。

では、これからバイク免許を取りたい人はどうすればいい?

ここが一番大事です。

もし、

「秋にはバイクに乗りたいな」

と思っているなら、秋になってから自動車学校へ行くのでは遅いかもしれません。

まず、早めに自動車学校へ問い合わせてみてください。

「普通二輪は、今申し込んだらいつ頃から始められますか?」

「入校したあと、技能予約はどのくらい取れますか?」

「今だと卒業まで、だいたいどのくらいかかっていますか?」

この3つくらいを聞くだけでも、かなり違うと思います。

そして、一校だけで決める必要もないでしょう。

同じ地域でも、自動車学校によって二輪を担当できる指導員の人数、教習車の台数、予約枠、繁忙期の対応は違うはずです。

ある学校ではしばらく待たなければならなくても、別の学校なら比較的早く始められることもあるでしょう。

地域によっては二輪専門の教習所もあります。

「家から一番近いから」

だけではなく、

「いつから入校できるのか」

「技能予約は取りやすいのか」

「卒業までどのくらいかかるのか」

まで聞いて選ぶ。

これからは、そんな自動車学校選びも必要なのかもしれません。

特に夏休みや春休みは、普通車免許を取る学生が増える時期です。

時期を少しずらしたり、平日の昼間に通えるのであれば、そのことを相談してみたりするのも一つの方法でしょう。

そしてもう一つ。

バイクは、在庫があれば比較的すぐに買えます。

でも免許は、お金を払った翌日にもらえるものではありません。

「いつかバイクに乗ってみたい」

と思っているなら、まだ買うバイクが決まっていなくても構いません。

まず、

「今から免許を取り始めたら、いつ頃取れそうですか?」

と聞いてみる。

そこから始めていいと思います。

バイク選びは、そのあとゆっくり楽しめばいい。

せっかく「バイクに乗ってみたい」と思ったのなら。

その気持ちがあるうちに、まず免許への一歩を踏み出してみてはいかがでしょうか。

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