アライヘルメットのこだわりを知る講習会

先日8/25は火曜日でYSPは定休日。日本が誇るトップブランドのヘルメットメーカー、「アライヘルメット」の講習会に大分市の某会議室まで行ってきました!
アライは日本初のヘルメットメーカーで、創業は1950年、70年もの歴史ある会社。まだヘルメットの市場も規格も何もない時代に、創業者が自分用のものを作ることから始めたんだそうですよ。
やがて世界一のものを作りたいと、当時唯一のヘルメットメーカー(BELL)よりも高性能なものを作ろう、ということを目標にし、それを実現。
今や世界に認められるブランドとなったんです。
ヘルメットの構造
さて、ヘルメットですが、基本的な構造についてご説明しましょう!
特に衝撃を吸収する部分は「シェル」と「ライナー」と呼ばれるふたつの部分になります。
卵に例えるなら「殻(から)」の部分が「シェル」といわれる硬い部分です。

そして卵の白身にあたる部分がその内側にある「ライナー」と呼ばれる部分。素材はいわゆる「発砲スチロール」です。
黄身の部分はもちろんライダーの頭ですよね。
ライナーだけでは衝撃吸収は不十分

このライナーがつぶれることで衝撃を吸収する、ということは、ご存じの方も多いのではないでしょうか。ちなみにアライのライナーの発砲スチロールは部分部分で硬さを変えているんですよ。
下の写真でいうとうっすら青、赤になっている部分が硬い部分です。
上の白い部分は指で押えるとへこむくらいの柔らかさです。ちなみに一体成型でありつつ、場所で硬さを変えてるのはアライだけなんですってね。

とはいえ、シェルと頭の間にあるのはライナーの厚さの分だけ、だからこれだけで頭にダメージを負わないように衝撃を吸収するのは非常に難しいのだそうです。
そもそも耐衝撃試験の際の想定スピードは、時速30キロにすぎないと今回の講習で教わりました。
だけど頭を、命をしっかり守らなくてはいけない、ここからがアライが独自に編み出してきた技術の話になります。
衝撃ポイントをうまく滑らせることで「かわす」

そこでアライが考えたのが、衝撃を「かわす」という方法。
そもそもライダーが転倒すると複雑な動きをするもの。回転しながら、滑りながら、地面へとたたきつけられます。
つまりヘルメットの衝撃試験のように頭のてっぺんからシンプルにドンと落ちるだけではないんですよね。

回転しながら、すべりながら、ヘルメットの接地面(衝撃ポイント)は移動するのですが、それにより衝撃を分散することができるというメリットがあります。転がったりすべったりしたほうがダメージは小さいのです。
結果ヘルメットにできるキズは長くひきずったような傷になりがち。でもその方が「衝撃をうまくかわしている」ということ。
ただ、ヘルメットの形が丸くないとこうはならないのです。
「かわす」ことは大事なのに規格としては存在しない

「R75」とシールドのラベルにもあるようにアライのヘルメットは丸さにこだわっています。
アライのヘルメットがたまご型をしていて、そこに頑固なまでにこだわるのはかわす動きを妨げないようにしたいからなのですね。
「衝撃をかわす」ということはこのように大事なことにもかかわらず、実はヘルメットの規格としてはないんだそうですよ(評価が難しいから)
アライ以外でそこにこだわるメーカーは、実は世界を見渡してもないのです。
ヘルメットが高い理由?
外側のシェルですが、海外ではレギュレーションで認められているので安いプラスチック系のものを使うこともあるのだそうですが、
アライは強度にすぐれたグラスファィバー、それもかなり高価な素材を20種類以上も使うのだとか。開口部からひび割れたりしないようにファィバーベルトで補強もしています(下写真)

高価な素材をふんだんに・・・その結果として当然コストはかかります。
「アライのヘルメットって高いなぁ?」、「どこが違うの?」なんて話もよく聞きますが、こういうところも価格の違いの理由なのでしょう。
シェルが壊れると衝撃をかわせない

なぜ硬さにこだわるかというとヘルメットのシェルが割れたり、つぶれたりしてしまうと、先に述べたヘルメットのかわす動きが止まってしまい、そこに衝撃が集中するからです。
だから頑丈でないといけません。実際にシェルに大人が乗っても割れることがありません。講習会で講師の人が実際乗ってましたが、びくともしませんでした!
横方向にも、たわませようとしても簡単にたわまないほどの強度があるのですが頭を守るには、まさにこの強度が必要なんですね。
すべてのモデルにスネル規格を

アライがスネル規格にこだわっているのはずっと昔から。「アライ=スネル規格クリアの高性能」は私が子供の頃の雑誌広告にも必ず載っていました。スネル規格は世界で一番厳しいヘルメット規格と呼ばれています。
この規格には半球形のアンビルとよばれるものに衝突させるという厳しい試験があるんです。

これをクリアするのは平面に衝突させるよりもそうとうな強度が必要で、インナーバイザー装備のモデルであったりするとクリアできないのだとか。だから最近ではこのスネル規格を避けるメーカーも多いんですってね。
アライがインナーバイザータイプなどをあえて作らないのは、スネル規格を全商品でクリアしておきたいからなのだそうです。
講習会をとおして

もともとアライのヘルメットは自分がモトクロスでサポートしてもらっていた(今も買って使ってる)こともあり、質実剛健、頑丈なヘルメットという印象がありましたが、講習をとおして中身を知る事でさらにその思いは強くなりました。
もう何十年も前のバイク雑誌、アライの広告で転倒したレーサーのヘルメットを載せたものがよくあったのを思い出しましたが、実際に転倒の現場にしっかりむきあいながら、作り上げてきた積み重ねがあればこそのアライヘルメットなのでしょう!
ヘルメットは装備や快適性、デザイン、そして価格も選ぶための重要な要素ですが、しかしヘルメットとはなんのためにあるのだ、ということも、この際あらためて考えてみたいものだと思いました!