
― 夏のツーリング後の疲労回復を考える ―
先日もツーリングに行きましたが、毎月のように行っているわけでもないので、たまに走ると、年齢のこともあり、けっこう疲れるんですよね。
今回のツーリングも、翌日の仕事はかなりぼろぼろな感じでした。
もちろん、気分はいいんです。
走っている時は楽しいし、帰ってきた後も「やっぱりバイクはいいな」と思う。
でも、体は正直です。
バイクで走る趣味をするなら、仕事に疲れを残しちゃいけないよね。
そこで、今回はバイクの疲れをどうやってとるのかを考えてみました。
ツーリングの疲れは、ただの筋肉疲労ではない
ツーリングの疲れというと、単純に「長い距離を走ったから疲れた」と思いがちです。
でも実際には、バイクの疲れはもう少し複雑です。
まず、体の疲れがあります。
長時間同じ姿勢で座り、ヘルメットをかぶり、風を受け、クラッチやブレーキを操作し、カーブでは体を使い、停車時には車体を支える。
見た目には座っているだけのようでも、首、肩、背中、腰、股関節、太もも、ふくらはぎなど、かなり広い範囲を使っています。
特に年齢を重ねると、当日は気分でごまかせても、翌日にどっと疲れが出ます。
若い頃のように「寝ればすぐ回復」とはいかないところがあります。
バイクの疲れは、水泳の後の疲れに少し似ている
バイクで一日走った後、体が重いというか、水泳をした後のような疲れを感じることがあります。
激しい運動をしたつもりはないのに、体全体がどんより重い。
帰ってきた時は気分が良いのに、しばらくすると一気に眠くなる。
翌日になっても、なんとなく体が残っている。
これは、バイクならではの疲れ方なのかもしれません。
水泳は、全身を使う運動です。
しかも水の中にいるので、体温も奪われます。
運動の疲れと、体温を保とうとする疲れが重なるわけです。
バイクも少し似ています。
見た目には座っているだけですが、実際には首でヘルメットを支え、肩や背中で上半身を保ち、腰や腹まわりで姿勢を安定させ、下半身で車体を支えています。
さらに、加速、減速、コーナー、停車、発進のたびに、体は小さく反応し続けています。
大きな動きではありませんが、低い負荷を長時間続けるという意味では、かなり全身を使っています。
そこに、走行風があります。
風を受けると、体は無意識にそれに対抗します。
首、肩、背中、腰にじわじわ力が入り続ける。
高速道路や長い下道を走った後に、肩や背中が重くなるのは、この影響もあると思います。
さらに、振動もあります。
エンジンや路面からの細かな振動を受けながら、体はずっとバランスを取り続けています。
本人は意識していなくても、筋肉は細かく働いています。
そしてもうひとつ大きいのが、体温調整です。
夏の市街地では暑い。
山に上がると涼しい、時には寒い。
早朝は冷える。
昼は暑い。
夕方から夜はまた冷える。
この変化に、体は一日中対応しています。
暑ければ汗をかき、寒ければ体をこわばらせて熱を逃がさないようにする。
これを繰り返すことも、疲労につながっているのだと思います。
つまり、バイクの疲れは、単に「座っていた疲れ」ではありません。
姿勢を保つ疲れ
風に耐える疲れ
振動を受け続ける疲れ
暑さ寒さに対応する疲れ
周囲を見続ける神経の疲れ
これらが重なって、あの水泳後のような、体全体が重くなる疲れになるのではないでしょうか。
走っている時は気分が良い。
むしろ、走り出すと元気になる。
でも帰ってきて安心した瞬間、体が一気に休息モードに入る。
そこで、どっと疲れが出る。
バイクは気分転換になる乗り物ですが、体と神経は思っている以上に働いている。
だからこそ、ツーリング後は「疲れて当然」と考えて、きちんと回復させることも大事なのだと思います。
楽しいのに疲れる理由は、神経を使い続けているから
それに加えて、バイクには神経の疲れがあります。
ツーリング中は、景色を楽しんでいるようで、実際にはずっと周囲を見ています。
前の車の動き、対向車、路面、信号、標識、ミラー、後続の仲間、休憩場所、天気の変化。
これを何時間も続けているわけです。
特にマスツーリングでは、自分だけでなく、前後の人の動きも気になります。
先導する側ならなおさらです。
「後ろは来ているか」
「信号で切れていないか」
「次の休憩場所は大丈夫か」
「このペースで無理がないか」
こういうことを無意識に考え続けています。
つまり、ツーリングは気分転換になる一方で、体も神経もかなり使う遊びなのです。
夏のツーリングは、暑さと脱水で疲れが増える
これから夏の季節になると、ツーリングの疲れ方も少し変わってきます。
冬や春先は、風による冷えが大きな疲労の原因になります。
しかし夏は、暑さ・日差し・脱水による疲れが大きくなります。
バイクは走っている間、風を受けるので涼しく感じることがあります。
でも実際には、汗が走行風で乾いているだけで、体の水分はどんどん抜けています。
つまり、
「汗をかいていないから大丈夫」ではなく、
「汗を感じないまま水分が抜けている」
ということがあります。
これが夏のツーリングの怖いところです。
走っている最中は気分がいい。
でも帰ってからぐったりする。
翌日の仕事で体が重い。
そういう時は、単に距離を走った疲れだけでなく、暑さと脱水で体力を削られている可能性があります。
夏でも“暑いだけ”ではない。気温差が体を疲れさせる
夏のツーリングというと、まず暑さを思い浮かべます。
市街地では暑い。
信号待ちでは、路面の照り返しとエンジンの熱でかなり体力を奪われます。
昼間の直射日光も強く、油断するとすぐにぐったりします。
ところが、バイクの夏はそれだけではありません。
早朝に出発すると、意外と寒い。
山に上がると、急に空気が冷たくなる。
日陰やトンネルの中では体が冷える。
帰りが夕方から夜になると、また寒く感じることがあります。
つまり夏のツーリングは、
暑さだけでなく、気温差との戦い
でもあるのです。
人間の体は、暑ければ汗をかいて体温を下げようとします。
寒ければ体をこわばらせて、熱を逃がさないようにします。
この体温調整を一日中繰り返すことで、本人が思っている以上に体力を使っているのではないかと思います。
クルマならエアコンで車内温度をある程度一定にできます。
でもバイクは、気温、走行風、標高、日差し、雨、霧の影響をそのまま受けます。
市街地では暑くて汗をかき、山では冷えて体が固まり、帰り道でまた暑かったり寒かったりする。
この繰り返しが、ツーリング後の疲れに大きく関係していると思います。
だから夏でも、ただ涼しい格好をすればいいわけではありません。
暑い時は風を通す。
寒い時や山の上では一枚足す。
早朝や夕方に備えて、防風できる薄手のインナーを持っておく。
汗をかいたまま冷えないようにする。
これだけでも、疲れ方はかなり変わると思います。
夏のツーリングでは、暑さ対策と同時に、
気温差に対応できる装備
が大事です。
「暑いから薄着」ではなく、
暑さにも寒さにも対応できる服装
が、翌日に疲れを残さないためには大切なのかもしれません。
年齢を重ねるほど、「暑くなる前に防ぐ」が大事になる
若い頃は、多少暑くても勢いで走れていたかもしれません。
でも年齢を重ねると、体温調整が追いつきにくくなり、知らないうちに体力を削られていることがあります。
特に夏のツーリングでは、暑くなってから対策するのでは少し遅いと思います。
のどが渇く前に水分を取る。
休憩のたびに少しずつ飲む。
塩分も少し補給する。
昼の一番暑い時間帯は無理をしない。
日陰で休む。
メッシュジャケットでも直射日光を受けすぎないようにする。
こういう小さな対策が、翌日の疲れ方にかなり影響します。
夏は「薄着なら涼しい」と思いがちですが、バイクの場合は少し違います。
直射日光を受け続けると、肌も体力も消耗します。
風を通しながら、日差しから体を守る装備のほうが、結果的に疲れにくいこともあります。
暑さ対策は、快適装備というより安全装備に近いと思います。
暑さで体力を奪われると、判断力や集中力も落ちます。
ブレーキのタイミング、車間距離、右左折車への注意、仲間との距離感。
こういう部分にじわじわ影響してきます。
だから夏のツーリングでは、
「暑くなってから我慢する」のではなく、暑くなる前に先に対策する
という考え方が大事です。
回復の第一歩は、まず体を落ち着かせること
では、ツーリング後の疲れをどう取るか。
夏の場合、帰宅後にまず大事なのは、体を落ち着かせることだと思います。
暑い中を走って帰ってきた直後は、体の中に熱がこもっていることがあります。
すぐに熱い風呂に長く入るより、まずは水分を取り、涼しい場所で少し体を休ませる。
汗を流したい場合も、最初はシャワーでさっぱりするくらいが良いかもしれません。
その後、体が落ち着いてから、ぬるめのお風呂にゆっくり入る。
温泉に寄れるなら、それもとても良いと思います。
ただし、疲れている時に熱い湯やサウナに長く入ると、かえってぐったりすることもあります。
特に夏のツーリング後は、すでに水分が抜けていることが多いので注意が必要です。
温泉やお風呂の目的は、根性で汗をかくことではなく、
こわばった筋肉をゆるめ、体を回復モードに戻すこと
だと思います。
走行風で失った水分と塩分を戻す
夏のツーリング後に特に大切なのが、水分と塩分を戻すことです。
バイクは汗をかいていないように感じても、走行風で乾いているだけで、実際にはかなり水分が抜けています。
帰ってからのビールは、正直おいしいです。
これは否定できません。
でも疲労回復という意味では、アルコールの前に水分を入れておいたほうがいいと思います。
水、お茶、スポーツドリンク、味噌汁などを少し。
まず体に水分を戻す。
そのうえで飲むなら、まだ良いのではないでしょうか。
温泉のあとにそのままアルコール、というのは最高に気持ちいいのですが、体の水分はさらに抜けやすくなります。
ツーリング後はただでさえ軽い脱水気味になりやすいので、ここは少し意識したいところです。
「飲むな」とまでは言いません。
私も飲みたくなります。
ただ、先に水分。
できれば塩分も少し。
これだけで、翌日の残り方は変わると思います。
疲れた時こそ、普通の定食が効く
食べ物でいうと、疲労回復には特別なものより、普通の定食が良いと思います。
ご飯、味噌汁、豚肉、魚、卵、豆腐、野菜。
こういうものをきちんと食べる。
特に疲れた時には、豚肉は良い感じがします。
豚の生姜焼き定食、豚しゃぶ、豚汁、ご飯、味噌汁。
こういう食事は、ツーリング後の体にはかなり合うと思います。
夏なら、冷たい麺だけで済ませたくなることもあります。
もちろん食欲がない時には無理する必要はありませんが、できれば卵、豆腐、肉、魚など、たんぱく質も少し入れたいところです。
うどんに卵を足す。
そうめんだけでなく、冷しゃぶや豆腐を足す。
味噌汁や豚汁で水分と塩分を取る。
こういう普通の食事が、結局いちばん回復には向いている気がします。
疲れていると、甘いものや脂っこいもの、アルコールだけで済ませたくなることもあります。
でも、それだと一瞬満足しても、回復という意味では少し遠回りになるかもしれません。
ツーリング後こそ、ちゃんと食べる。
これはかなり大事だと思います。
首・肩・股関節をゆるめると、翌日の重さが変わる
それから、軽いストレッチも効果があります。
バイクの疲れは、特に首、肩、胸、腰、股関節、お尻、ふくらはぎに残ります。
ヘルメットと風圧で首肩が固まる。
ハンドルを持つ姿勢で胸が縮む。
長時間座ることで腰やお尻が固まる。
ステップに足を置き続けて、ふくらはぎや太ももも疲れる。
帰宅後やお風呂上がりに、痛いほど伸ばすのではなく、気持ちよく呼吸できるくらいで十分です。
首をゆっくり横に倒す。
肩を大きく回す。
胸を開く。
椅子に座ってお尻を伸ばす。
ふくらはぎを伸ばす。
全部やっても5分から10分くらいです。
大事なのは、頑張ることではなく、固まった体を元に戻すこと。
ツーリング後に強い運動をする必要はありません。
むしろ、やさしく整えるくらいがちょうどいいと思います。
特に夏は、暑さで体力を使っているので、無理に運動で汗をかく必要はないと思います。
回復のためには、軽くゆるめる程度で十分です。
目の疲れも、ツーリング疲労の大きな原因
そして意外に大きいのが、目の疲れです。
バイクに乗っている時は、前方、路面、ミラー、標識、対向車、後続の仲間などをずっと見続けています。
夏は日差しも強く、路面の照り返しもあります。
ヘルメット内の乾燥や、風による目の疲れもあります。
帰宅後にスマホで写真を見たり、SNSに投稿したりしたくなりますが、目の疲れには追い打ちになることもあります。
ツーリング後は、蒸しタオルやホットアイマスクで目を温める。
スマホを見る時間を少し減らす。
遠くをぼんやり眺める。
乾燥しているなら目薬を使う。
これだけでも、翌日のだるさが変わることがあります。
目の疲れは、単に目だけの問題ではなく、脳の疲れにもつながっています。
ツーリング中は大量の情報を処理し続けているので、帰宅後は少し情報を入れない時間を作ることも大事だと思います。
ロングツーリングでは、疲れを翌日に持ち越さないことが安全につながる
この「疲れをどうやって取るか」というテーマは、日帰りツーリングだけでなく、数日間にわたるロングツーリングではさらに大事になります。
日帰りなら、多少疲れても帰って寝れば終わりです。
でもロングツーリングでは、疲れが残ったまま、翌朝また走り出すことになります。
これが怖いところです。
疲れが抜けていないと、集中力が落ちます。
反応が遅れます。
判断が少し雑になります。
車間距離が近くなったり、ブレーキ操作が遅れたり、カーブへの入り方が荒くなったりすることもあります。
本人は「まだ大丈夫」と思っていても、体の余裕が少なくなっていると、走りにもそれが出ます。
特にバイクは、体調の影響を受けやすい乗り物です。
少し眠い。
少し首や肩が重い。
少し腰が張っている。
少し暑さでぼんやりする。
少し脱水気味になっている。
この「少し」が重なると、思っている以上に危険側へ寄っていきます。
だからロングツーリングでは、
今日はどこまで走るか
だけでなく、
明日の朝、どれだけ回復した状態で出発できるか
まで考える必要があります。
宿に着いたら、まず水分を取る。
汗を流して体を落ち着かせる。
食事をきちんと取る。
アルコールはほどほどにする。
少し体を伸ばす。
スマホや動画を見すぎず、早めに寝る。
こういう当たり前のことが、翌日の安全につながります。
ロングツーリングは、ただ走り続ける体力勝負ではありません。
疲れをためずに、毎日リセットしながら走る遊び
だと思います。
無理をして距離を稼ぐより、翌朝に気持ちよく走り出せる状態を作る。
それが、長いツーリングを最後まで楽しむためには、とても大事なのだと思います。
そしてこれは、年齢を重ねたライダーほど大切になります。
若い頃なら、少しくらい無理をしても翌朝には何とかなったかもしれません。
でも年齢を重ねると、疲れはその日のうちにきちんと抜いておかないと、翌日、さらにその翌日にまで残ることがあります。
ロングツーリングで大事なのは、
初日に元気よく走ることではなく、最終日まで安全に楽しく走れること
です。
そのためには、走る計画と同じくらい、休む計画も大事です。
どこで休憩するか。
どこで水分を取るか。
宿には何時ごろ着くか。
夜はしっかり休めるか。
翌朝、無理なく出発できるか。
そういうことまで含めて考えると、ツーリングはもっと安全で、もっと楽しいものになると思います。
早めに休むことも、ツーリングの一部
ツーリングから帰ってくると、写真を見たり、SNSに投稿したり、反省したり、動画を見返したりしたくなります。
それも楽しい時間です。
でも、翌日仕事があるなら、どこかで切り上げることも必要だと思います。
ツーリングの疲れは、帰ってきた瞬間より、翌日に出ることがあります。
特に夏は、暑さと脱水、さらに気温差による疲れがあとから出やすい。
だから、帰宅後はできるだけ早めに食事をして、水分を取って、体を整えて、早めに寝る。
結局これが一番効くのかもしれません。
若い頃は、疲れてもそのまま寝れば何とかなったかもしれません。
でも年齢を重ねると、遊び方だけでなく、回復の仕方も考えないといけません。
走る技術だけでなく、回復する技術も必要
結局、夏のツーリング後の疲労回復で大切なのは、
水分を戻す
塩分を少し補う
気温差に備える
ちゃんと食べる
体を落ち着かせる
軽く伸ばす
目と神経を休ませる
早めに寝る
このあたりだと思います。
これは決して後ろ向きな話ではありません。
むしろ、長くバイクを楽しむためには、
走る技術だけでなく、疲れを残さない技術も必要
なのだと思います。
ツーリングは、行く前は少し気が重くても、走り出すと気分が良くなる。
帰ってくると「やっぱり行ってよかった」と思う。
でも、その楽しさを翌日の仕事に悪い形で残してしまうと、せっかくの趣味が少し苦しくなってしまいます。
だからこそ、帰ってからの過ごし方まで含めてツーリング。
無理して走るだけでなく、
ちゃんと休む。
ちゃんと飲む。
ちゃんと食べる。
ちゃんと寝る。
そして、夏でも山や早朝、夕方の冷えに備える。
日帰りでも、ロングツーリングでも、最後まで安全に楽しく走るためには、疲れをためない工夫が大切です。
そこまで含めて、大人のバイクの楽しみ方なのかもしれません。