
自分はこんなにバイクが好きなのに、子どもや奥さんは全然興味を持ってくれない。
そんな方、けっこう多いのではないでしょうか。
するとバイク好きとしては、つい、
「バイクは気持ちいいぞ」
「ツーリングは楽しいぞ」
「このエンジンは何馬力で」
「コーナーではこう乗るんだ」
と、魅力や知識を一生懸命伝えたくなります。
でも最近思うんです。
もしかすると、そこが少し早いのではないかと。
そもそも人って、最初から何かに強い興味を持つものなんでしょうか。
小さい頃から乗っていた。でも最初からバイク好きではなかった
自分は小さい頃からバイクには乗っていました。
だから、
「子どもの頃からずっとバイクが大好きだったんでしょう」
と思われそうですが、実はそうでもありません。
小学生から中学生くらいまでは、乗れば乗るけれど、バイクそのものにそこまで強い興味があった記憶はないんです。
あるとき、
「レースに出るか?」
という話になって、
「それなら出てみるよ」
くらいの感じで走った記憶があります。
ところが、実際にレースに出てみると全然速くない。
一生懸命走っているのに転ぶ。
自分では頑張っているつもりなのに、なぜかうまくいかない。
そこで初めて、
「なんで?」
が出てきたんですよね。
「なんで?」と思ったところから面白くなった
分からないから聞いてみる。
すると、
「バカ、お前そこはこうするんだ」
なんて言われる(笑)。
「なんで?」
「基本とはそういうもんだ」
今なら少々荒っぽいやり取りですが、教わったことを試してみる。
すると、それまで怖くてとても下りられなかった下り坂が下りられるようになる。
登れなかった結構な上り坂も登れるようになる。
そこで、
「あれ?自分に才能がないんじゃなくて、単にやり方を知らなかっただけなんだ」
となる。
じゃあ、他にもやり方があるんじゃないか。
もっと覚えたら、もっとできるんじゃないか。
そうなると急に面白くなってくる。
そして最後は、
「やっぱ俺、結構いけるんじゃね?」
となるわけです(笑)。
たぶん自分の場合、ここがバイクに深くハマっていった入口だったんだと思います。
野球やテニスでは、その「面白いところ」まで行けなかった
考えてみれば、自分は子どもの頃、野球やテニスもやったことがあります。
父親が野球好きだったので、地元のチームにも入りました。
でも正直、当時は何が面白いのか、さっぱり分かりませんでした。
走る。
キャッチボール。
素振り。
基本練習。
今考えれば、そりゃ基本からやるのは当たり前です。
テニスも同じでした。
まずフォーム。
まず基本。
まず練習。
こちらも続きませんでした。
ただ今になって思うのは、その前に友達と遊びで野球をやって、
「おお、打てた!」
となったり、
テニスで適当に打ち合って、
「ラリー続いた!面白いやん」
という経験があれば、少し違ったかもしれないということです。
一度面白さを知って、
「もっと打ちたい」
と思った後なら、素振りにも意味が出てきます。
でも面白さを知らない段階で、
「まず素振り100回」
では、
「何のために?」
になってしまう。
バイクも、最初から説明しすぎていないか
これ、バイクでも同じなんじゃないでしょうか。
まだ面白さを体験していない人に、
馬力だ、
トルクだ、
サスペンションだ、
ライディングフォームだ、
視線だ、
荷重だ、
と話しすぎる。
もちろん、そういう知識や技術がいらないわけではありません。
むしろ後になれば、とても大事です。
ただ、段階がある。
まだ本人が、
「これ面白い」
と思っていないうちから全部説明すると、
「バイクって難しそう」
で終わってしまうこともあるでしょう。
バイク好きな側は、好きだからこそ説明したくなる。
でも相手は、まだそこまで来ていない。
そこを忘れない方がいいのかもしれません。
最初は「安全に遊んでみる」でいい
だから入口では、
「上手く乗ろう」
より先に、
「安全に、まず遊んでみる」
くらいでいいのではないでしょうか。
昔なら、家の原付などを私有地で大人に見てもらいながら、少し動かしてみたという人もいるでしょう。
今なら、子ども向けのバイクスクールや親子体験会もあります。
オフロードコースでレンタルバイクを利用する方法もある。
大人だって同じです。
初心者向けの体験会に参加してみる。
免許を持っていれば、いきなり買わずにレンタルバイクで半日走ってみる。
最初から、
「バイク乗りになろう」
と構える必要はない。
「ちょっとやってみる?」
くらいでいい。
そこで、
「意外と面白い」
「思ったより乗れた」
となれば十分です。
最初は「乗ってるだけで楽しい」でいい
大人がバイクを始める場合でも、
「難しいことは分からないけど、乗ってるだけで楽しい」
という人は多いと思います。
それでいいんですよね。
むしろ最初は、それくらいが自然です。
まず、
「楽しい」
があって、
「俺、意外と乗れるんじゃね?」
があって、
そこから、
「もうちょっとやってみたい」
になる。
問題はその先です。
「楽しいだけ」で済まなくなる段階もある
近所をのんびり走る。
景色を楽しみながらツーリングする。
そのくらいなら、
「乗ってるだけで楽しい」
で十分な場面も多いでしょう。
でも、
上手い人と一緒に走りたい。
ワインディングをもう少し気持ちよく走りたい。
高速道路を走りたい。
大きなバイクに乗りたい。
オフロードで難しいところへ行きたい。
となれば、少し話が変わってきます。
野球なら空振りしても三振で終わります。
でもバイクの場合、
「うまくできなかった」
が、転倒や事故につながることがある。
だから、
「初心者には難しいことを言わなくていい」
と、
「ずっと感覚だけで乗ればいい」
は別の話です。
もっと先へ行きたいと思ったところで、
「じゃあ、ここからは少しちゃんと覚えよう」
になる。
そこで基本や技術が必要になってくる。
「なんで?」が出たとき、基本が欲しくなる
たぶん流れとしては、
まずやってみる。
ちょっと面白い。
「俺、結構いけるんじゃね?」
となる。
少し難しいことに挑戦する。
うまくいかない。
「なんで?」
と思う。
そこで基本や技術を知る。
試してみる。
できるようになる。
そしてまた、
「やっぱ俺、結構いけるんじゃね?」
となる。
この繰り返しなのかもしれません。
基本や技術というのは、本来、人を縛るものではなく、
「できなかったことを、できるようにしてくれるもの」
なんでしょうね。
だから本人が「なんで?」と思ったときに入ってくると、一気に面白くなる。
そして、これは今でも同じ
自分も今でもモトクロスをやっています。
海外、特にアメリカのライディング技術論などを見ていると、
「え?そこってそうするの?」
という、目から鱗の話が今でもあります。
実際に試してみる。
すると、
「あれ?案外うまくいくぞ」
ということがある。
そこでまた思うんです。
「俺、この歳でもまだいけるんじゃね?」って(笑)。
考えてみれば、子どもの頃からやっていることは変わっていないんですよね。
やってみる。
うまくいかない。
「なんで?」と思う。
知る。
試す。
できる。
また面白くなる。
バイクって、たぶんこの繰り返しで長く面白くなっていくものなんだと思います。
だから、まだバイクに興味がない人に、最初からその奥深さを全部説明する必要はないのかもしれません。
まずは安全に遊んでみる。
「あれ?これ面白いかも」
と思う。
そして、
「俺って結構いけるんじゃね?」
が生まれる。
その先で壁に当たったら、
「なんで?」
と考えて、基本を知る。
できることが増えれば、また面白くなる。
案外それが、バイクという趣味に入っていくときも、長く続けていくときも、一番自然な形なのかもしれません。
皆さんが最初に、
「バイクって面白いな」
と思ったのは、どんな瞬間だったでしょうか。