ニューモデル日本中を旅したい人へ。TRACER9 GT+ Y-AMTをおすすめしたい理由

先日、

「高速道路は、バイクにとってなぜあれほど疲れるのか?」

という記事を書きました。

信号も交差点もない。

一定速度で走れる。

普通に考えれば、一般道より高速道路の方が楽そうです。

ところが実際にバイクで何時間も走ってみると、かなり疲れます。

ずっと風を受ける。

暑さ、寒さの影響を直接受ける。

前のクルマとの車間を調整する。

後ろから来るクルマを確認する。

合流、分岐、車線変更にも気を使う。

交通量が増えれば、速度も一定ではありません。

高速道路という場所は、バイクにとって思っている以上に厳しい環境なのです。

だからこそ、TRACER9 GT+ Y-AMTというバイクの装備を見ていると、

「ああ、これは遠くへ行くためのバイクなんだな」

と思います。

今回は、高速道路を使って長距離を走る人に、なぜこのバイクをおすすめしたいのかを書いてみます。

「高速道路を走れる」と「余裕を残して走れる」は違う

排気量があるバイクなら、100km/h前後で高速道路を走ること自体はできます。

でも、

「高速道路を走れるバイク」

と、

「高速道路を何時間も走って、それでも余裕が残るバイク」

は、同じではないと思います。

例えば大分からフェリーに乗って関西へ行く。

フェリーを降りれば、そこからがツーリングの始まりです。

阪神高速のような交通量の多い道路を抜け、その先の高速道路を走り、さらに目的地へ向かう。

そこで高速道路を降りた時点でクタクタになっていたら、少しもったいない。

本当に欲しいのは、

高速道路を走り切る能力ではなく、

高速道路を降りたあとにも体力と集中力が残っていること。

TRACER9 GT+ Y-AMTの装備は、かなりの部分がそこへ向いているように思います。

高速道路は「速度差」が大きい

高速道路で神経を使う理由のひとつが、周囲との速度差です。

例えば新東名には、普通車などの最高速度が120km/hに設定されている区間があります。

一方、トレーラーの高速自動車国道での法定最高速度は80km/hです。

同じ高速道路上で、制度上でも40km/hもの速度差があり得るわけです。

実際に走っていると、左側には大型車が並び、追越車線ではかなり速いペースの乗用車が後方から近づいてくる。

こちらも決してゆっくり走っているわけではないのに、

ミラーを見た時にはまだ遠かった車が、次に見た時にはかなり近くにいる。

そんなことがあります。

前には遅い車両。

後ろからは速い車両。

その間に自分がいる。

前との距離を見ながら、後ろも見て、追い越すのか、待つのか、戻るのかを判断する。

高速道路で疲れるのは、単純に速度が高いからではなく、

「大きな速度差の中で、自分の位置をずっと調整し続けるから」

でもあると思います。

車間を空けたい。でも、空けると入られる

もうひとつ、高速道路で結構疲れるのが車間距離です。

バイクの場合、できれば前との車間は十分に取っておきたい。

ところが車間を空けると、隣の車線を走っているクルマからは、

「ここなら入れる」

というスペースにも見えます。

一台入ってくる。

するとこちらは、もう一度車間を空ける。

そこへまた一台入る。

また車間を作る。

一回なら何ということはありません。

アクセルを少し戻せば済む話です。

でも交通量の多い高速道路では、それを何十回も繰り返します。

こういう小さな仕事が、少しずつ集中力を削っていきます。

ACCが車間を淡々と取り直してくれる

そこでTRACER9 GT+ Y-AMTのACC、アダプティブクルーズコントロールが効いてきます。

前方のミリ波レーダーで先行車との距離を見ながら、前に追いつけば速度を落として車間を保ち、前が空けば設定速度へ戻していく。

車間も4段階から設定できます。

つまり、

車間を取る。

一台入ってくる。

また車間を作る。

前が空く。

また速度を戻す。

という高速道路で何度も繰り返していた仕事の一部を、バイク側が引き受けてくれるわけです。

これが、かなりありがたい。

そして私は、単に右手が楽になること以上に、精神的な余裕が大きいと思います。

せっかく空けたところへ入られると、

「また入ってきた」

と思ってしまいます。

すると、

これ以上入られないように少し詰めようか。

抜き返そうか。

車線を変えようか。

そんな余計なことまで考え始めます。

でも機械は腹を立てません。

一台入った。

では、また必要な車間を作る。

それを淡々とやってくれる。

そもそも車間距離は、誰にも入られないための場所ではありません。

自分が安全に止まるための余裕です。

ACCがその余裕を作り直してくれる。

高速道路を長く走る人ほど、このありがたさは大きいと思います。

Y-AMTが、さらに「小さな仕事」を減らしてくれる

そしてGT+にはY-AMTがあります。

交通量の多い高速道路では、

100km/h近くで流れていたと思ったら90km/hになる。

80km/hまで落ちる。

また流れ始める。

そんな速度変化が何度もあります。

普通なら、

アクセルを戻す。

必要ならシフトダウンする。

また速度が上がればシフトアップする。

これを繰り返します。

TRACER9 GT+ Y-AMTでは、ACC作動中の車速変化に合わせてY-AMTが変速まで行います。

つまり前の流れに合わせる時の、

アクセル、

クラッチ、

シフト、

そういった操作負担をさらに減らせる。

もちろん、操作しなくていいからボーッとしていい、という話ではありません。

むしろ逆です。

機械に任せられる仕事を機械に任せ、そのぶん、

前のクルマはどう動くのか。

隣のクルマはこちらへ来ないか。

次の分岐はどちらなのか。

路面に何か落ちていないか。

そういう、人間が本当に見なければならないところへ注意を使う。

私は、そこにY-AMTとACCの組み合わせの価値があると思います。

後ろから急接近する車両も教えてくれる

高速道路では前だけではなく、後ろもかなり重要です。

特に怖いのが、かなり後ろにいた車両が大きな速度差で一気に近づいてくる時です。

こちらが車線変更しようとしている時なら、なおさらです。

TRACER9 GT+ Y-AMTには後方にもミリ波レーダーがあり、後方から接近する車両や死角にいる車両を検知すると、ミラー内に表示するBSD、ブラインドスポットディテクションが装備されています。

もちろん、これがあるから後ろを確認しなくていいわけではありません。

最後は自分の目で確認します。

でも、

「あ、後ろから何か来ている」

と先に教えてくれる。

ならば、一度待とう。

先に行かせよう。

それから車線を変えよう。

この一拍の余裕が大きい。

ACCが前方について余裕を作り、

BSDが後方について余裕を作る。

速度差の大きな高速道路だからこそ、前後両方をサポートしてくれる意味があります。

風に耐えることも、実はかなり疲れる

高速道路の疲労は、判断だけではありません。

身体もずっと仕事をしています。

その代表が風です。

100km/h近い風を何時間も受ければ、本人は意識していなくても首、肩、腕、背中などを使って身体を支え続けています。

TRACER9 GT+ Y-AMTには、100mmの範囲で無段階に調整できる大型電動スクリーンがあります。

高速道路では上げて風を減らす。

暑くなれば少し下げて風を入れる。

その日の気温や速度、自分の体格に合わせて風の当たり方を調整できる。

単に「大きいスクリーンが付いている」のではなく、

長時間受け続ける風を、自分に合わせて調整できる。

これも長距離ではかなり効いてくると思います。

寒い時、手を温められる

そして長距離ツーリングでは、寒さも無視できません。

春や秋はもちろん、夏でも早朝や標高の高い場所では、

「こんなに寒いとは思わなかった」

ということがあります。

まして高速道路では風を受け続けます。

手が冷えてくると不快なだけではありません。

指が動かしにくくなり、操作そのものにも余裕がなくなってきます。

TRACER9 GT+ Y-AMTは、グリップウォーマーも標準装備。

しかも細かな温度調整ができます。

これも展示車を眺めているだけでは、あまりありがたさが分からない装備かもしれません。

でも寒い高速道路を1時間、2時間走れば、

「付いていてよかった」

となる。

長距離ツアラーでは、こういう装備が大事なのです。

荷物を積めるだけではなく、積んで走ることまで考えてある

そして旅をするなら、積載性も重要です。

数日間のツーリングなら、それなりの荷物になります。

着替え。

雨具。

防寒着。

工具。

充電器。

場合によってはキャンプ道具。

トップケースと左右のサイドケース、いわゆる3ケースを使いたくなる人もいるでしょう。

ただし、

「3ケースを付けられる」

ことと、

「3ケースに荷物を積んだまま高速道路を安定して走れる」

ことは別の話です。

以前のバイクでは、ケースを3つ付けて速度を上げると、ハンドルや車体が落ち着かなくなるものもありました。

荷物が車体の後ろや左右へ増えるわけですから、当然、車体の挙動にも影響します。

TRACER9シリーズでは、そこまで考えてあります。

サイドケース取付部にはダンパーを使い、ケース側の振動を減衰させる構造を採用。

ヤマハ自身も、3バッグに加えてタンデムした状態まで想定して高速走行時の安定性を開発してきました。

現行GT+にも、ダンパー内蔵サイドケース用ステーが装備され、サイドケース装着時の高速直進安定性に寄与しています。

ケースそのものはオプションですが、

単に荷物を載せる場所を作ったのではなく、

「荷物を積んで遠くへ行く」

ところまで考えた車体なのです。

これは日本中を旅したい人には、かなり大きな意味があると思います。

電子制御サスペンションも長距離ほどありがたい

高速道路はきれいな路面ばかりではありません。

橋の継ぎ目もあります。

うねりもあります。

荒れた場所もある。

一回の衝撃は大したことがなくても、何時間も受け続けると疲れます。

TRACER9 GT+ Y-AMTにはKYB製電子制御サスペンションKADSが採用され、車体姿勢や加速度、サスペンションの動きなどに応じて減衰力を自動調整します。

こうした装備も、

「なくては走れない」

ものではありません。

でも300km、500kmと走っていくと、

少しずつ効いてくる。

この「少しずつ疲れを減らす装備」がいくつも重なっているのが、GT+の強みなのだと思います。

だから、誰にでもこのバイクをおすすめするわけではありません

ここまで書いてきましたが、

TRACER9 GT+ Y-AMTは誰にでも必要なバイクだとは思いません。

遠くへ行くつもりはない。

休日の朝にちょっと朝駆けしたい。

近所のワインディングを楽しみたい。

なんなら毎日の通勤にも使いたい。

そういう人なら、もっと軽くて、シンプルで、扱いやすいバイクがあります。

ACCも、

後方レーダーも、

電動スクリーンも、

3ケースを想定した車体も、

そこまで必要ではないでしょう。

でも、

「一度、九州から日本一周してみたい」

という人ならどうでしょう。

まとまった休みが取れたら北海道まで行ってみたい。

東北を走りたい。

信州へ行きたい。

フェリーを乗り継いで、日本中をバイクで旅してみたい。

そんな夢を持っている人なら、話は変わります。

日本中を旅するなら、全部が意味を持ち始める

大分からフェリーで関西へ渡る。

数日分の荷物を積む。

高速道路を何時間も走る。

都市高速を抜ける。

大型車の列を追い越す。

後ろから速いクルマが近づいてくる。

暑くなる。

山へ入れば寒くなる。

雨にも降られる。

夕方になれば疲れてくる。

そして翌朝になれば、また何百kmか走る。

そんな使い方をすると、

ACCがありがたい。

BSDがありがたい。

Y-AMTがありがたい。

電動スクリーンがありがたい。

グリップウォーマーがありがたい。

電子制御サスペンションがありがたい。

3ケースを積んでも安定して走れることがありがたい。

カタログを見ている時には、

「こんなに要る?」

と思った装備が、

旅に出ると一つずつ、

「あってよかった」

に変わっていく。

それがTRACER9 GT+ Y-AMTというバイクではないでしょうか。

このバイクの価値は、30km先ではなく500km先で分かる

朝駆けだけなら、このバイクでなくてもいい。

通勤だけなら、もっと向いているバイクがあります。

近所を一周して帰ってくるだけなら、GT+の装備を使い切ることもないでしょう。

でも、

遠くへ行きたい。

まだ行ったことのない場所へ行きたい。

日本中をバイクで見て回りたい。

そういう人には、私はTRACER9 GT+ Y-AMTをかなり強くおすすめしたいです。

このバイクは、

「何でも付いている高級なバイク」

なのではなく、

「遠くまで走る時にライダーがやらなくてもいい仕事を、少しずつ減らしてくれるバイク」

なのだと思います。

そしてツーリングの目的は、高速道路を走ることではありません。

高速道路の先にある景色を見ることです。

目的地に着いた時に、まだ歩き回れるくらいの体力が残っている。

翌朝になったら、

「今日も走ろう」

と思える。

そして何日も走った最後の日まで、余裕を残して家へ帰る。

そこまで含めて考えるなら、

TRACER9 GT+ Y-AMTは、現在のヤマハのラインナップの中でも、日本中を旅するという夢に最も近い一台ではないかと思います。

このバイクの本当の価値は、

家を出て30kmのところではなく、

300km、500km、

そして旅の何日目かになってから、

もっとはっきり分かってくるのではないでしょうか。

「いつか日本一周してみたい」

そんなことを一度でも考えたことがある方。

ぜひTRACER9 GT+ Y-AMTを候補に入れてみてください。

YSP大分でも、長距離ツーリングを想定した車両選びや、ケース類を含めた装備についてご相談いただけます。