How toバイクが上達できない人にはある共通点がある。

元国際A級ライダーが語る「うまくなる人・ならない人」の決定的な違い

モトクロスの国際A級として走っていた経験から、また安全運転特別指導員であることからオフロード・一般公道の走り方を問わず、これまで多くのライダーにアドバイスをしてきました。
その中で強く感じるのは——本当に上達する人は、「素直に受け入れて試す人」だということです。


「あなたはできるけど、私は無理」って本当?

よく言われます。
「それはあなたが元・国際A級だからできるんでしょ?」「私には無理です」って。

でも、今できていることって、もともとできたわけではなく、何年もかけて試行錯誤してきた結果なんです。
うまくいかない時期、怖くて踏み込めない時期、フォームを変えて崩れまくった時期——そういうのを何度も経験してきたからこそ、今の走りがあります。


上達を妨げる「心のブレーキ」

なぜ、的を射たアドバイスをしても「やってみよう」と思えない人が多いのか。
その背景には、心理学的なメカニズムが働いています。

■ 自己防衛本能

「失敗したらどうしよう」「できなかったら恥ずかしい」といった不安から、無意識に“挑戦しない”という選択をしてしまいます。

■ 現状維持バイアス

人は変化に対して本能的に抵抗を持っています。
今のやり方がうまくいっていなくても、「変えること」そのものが怖くなってしまうのです。

この2つが合わさることで、「そのアドバイス、参考にはなりました。でも自分には無理かも」と心のブレーキがかかってしまう。
そうなると、どれだけ正確なアドバイスをもらっても、成長につながることはありません。

アドバイスを受けても、それを理屈で説明しろという、さらに納得できるように説明できないお前が悪いという。それでは上達するわけがありません。


上達とは、山登りのようなもの

上達というのは、“山を登る”ようなものです。
そしてその山には、確実にたどり着けるルートが1つか、せいぜい2つしかない

上級者は、そのルートを知っています。
でもそれは、偶然見つけたわけではありません。

なぜそのルートが「最善」だと分かるのか?
それは、それ以外のルートをすべて試して、ことごとく失敗してきた経験があるからです。

遠回りをしたり、転んだり、崖から落ちかけたり。
そういった数々の試行錯誤があったからこそ、「これが一番効率的で安全だ」と断言できるのです。

無理に自力で登ろうとするよりも、素直に先人の知恵を借りたほうが、はるかに早く・安全に頂上に近づけます。ましてバイクですよ。ことごとく失敗を体で試していたらケガどころではすまないのでは?

そして実は、バイクの運転が上達する人というのは、この“素直さ”と“受容性”が抜群に優れていることが多い
誰かから学べることをすぐに吸収し、実行に移し、自分のものにしていく。さらに超えていく。
それが早く上達するためのコツであり、さらに安全に走れる人の特性のひとつです。


上達する人は、シンプルで強い

私の経験上、上達が早い人には明確な共通点があります:

  • ★ 「はい、やってみます」と即行動に移す
  • ★ 上手くいかなくても「これは練習中の一部」と冷静に捉える
  • ★ 自分の感覚よりも「アドバイス」をまず信じてみる

そして何より、アドバイスを10伝えると、それを12にも15にも膨らませてしまうような力を持っているんです。

実際、過去に自分が教えたライダーがどんどん伸びていき、最終的には自分よりも速くなってしまったということもありました。
正直ちょっと困ったことでもありましたが(笑)、それこそがまさに「受け入れる力」のなせる業なのです。


「素直に試してみる」だけで、バイクは変わる

たとえば、「もう少し上半身リラックスしてみよう」「コーナーの視線を少し先に置いてみよう」
そんなシンプルなアドバイスでも、バイクの挙動がガラッと変わることがあります。

最初は違和感があるかもしれません。
でも、その違和感の向こうにあるのが、“新しい技術”であり“上達”です。

大切なのは、「まず試してみること」。
やってみて初めて、自分の中に新しい感覚が芽生えます。


最後にひとこと

あなたが「無理」と感じているその操作も、
「できなかった」のではなく、「まだ正しいルートで登っていなかった」だけかもしれません。

技術の差よりも、心の姿勢の差が、上達の差になります。
もし本気でうまくなりたいなら、まずは心を開いて、アドバイスを“そのまま”受け入れてみてください。
それだけで、バイクライフはきっと大きく変わっていきます。