カスタム足つき重視でローダウンすると何が起きる?コーナリング性能への影響を理論的に解説

足つき改善が落とし穴:ローダウンが走行性能に与える影響とは?

バイクの選択やカスタムを考える際、多くのライダーが「足つきの良さ」を重要視しますよね。特に、初心者や小柄なライダーにとって、地面にしっかり足が届くことは安心感を大きく高めるポイントです。


しかし、足つきを重視してローダウンを行うと、見逃せない問題が発生することがあります。その一つが「コーナリング性能への影響」です。

バイクを選ぶ過程でなんとなく足つきが不安になった。それで可能な限り足が着くようにと、シートを削ったり、ローダウンリンクやローダウンサスペンションに交換したりする。これは一見、安全への配慮に思われますが、実はそれこそが最も走行中の安定を損なっているのかもしれません。

この記事では、コーナリングの物理的な理論を交えながら、ローダウンのメリットとデメリットを深掘りします。

ローダウンのメリット

このローダウンの主な目的は、ライダーの足つきを改善し、安心感と取り回しのしやすさを向上させることです。具体的には以下のメリットがあります

1.  足つきの向上

(地面に足がしっかり届くことで、停車時やUターンなどの操作が楽になります。)


2. 重心の低下による直進安定性の向上
(重心が低くなることで、直進時や低速での安定感が増します。)

これらの効果により、初心者や小柄な方でも安心してバイクを楽しむことができるのがメリットです。人間の体格は人それぞれなので、ある程度はバイク側で調整することはもちろんやるべきです。

ローダウンによるコーナリング性能への影響

このようにローダウンは足つきや安定性を向上させますが、逆にバイクの運転の肝となるコーナリング時には特有のデメリットが発生します。以下にその理論と具体的な影響を解説します。

  1. コーナリング中の力の釣り合いについての説明

バイクがコーナリングする際、次の2つの力のバランスが重要です

•   遠心力(コーナー外側に引っ張る力)

遠心力は速度 v と旋回半径 r に依存し、次の式で表されます:

•   重力のモーメント(車体を倒す力)

重力Fgは重心の高さ h に比例します。重心が高い(シート位置が高い)ほどモーメントが大きくなり、少ない傾きでも遠心力と釣り合いを取ることが可能です。

バランスを取るために必要なバンク角 θは以下の式で表されます:

この式から分かるように、重心が低い場合、重力によるモーメントが小さくなるため、遠心力と釣り合うためにバンク角 θをより大きくする必要があります。

  1. ローダウンすることで変わる事

ローダウンによる重心の低下は、コーナリング時に以下のような影響を及ぼします

1.必要なバンク角が増加する

重心が低いと、同じ速度で同じ半径のコーナーを曲がるために、より深いバンク角が必要になります。つまり、しっかり傾けないと、曲がってくれない特性になります。つまりローダウンすると、普通に走るにもタイヤのアマリングを残さないような、きっちり寝かし込んでいく走りが求められる傾向になります。


2. バンク角の制限

ローダウンにより最低地上高が低くなるため、深く傾けるとステップやカウル、マフラーなどのパーツが路面に接触しやすくなります。
この「接地限界」が低くなることで、バンク角が物理的に制限され、スポーツ走行や攻めたコーナリングが難しくなる場合があります。さらに接地するのが怖くて心理的にバイクを傾けにくくなる影響も考えられます。傾けないと曲がらないのに接地が怖い、その矛盾が悩ましいところです。

3.ハンドリングの変化

重心の低下は、次のようにハンドリングにも影響を与えます

•   倒し込みにより多くの力が必要になるため、コーナリングが「重く」感じられる。
•   特にタイトなコーナーや連続したコーナーでは、素早い切り返しが難しくなる。

具体例:ローダウン車と通常車を比較してみる

<通常車>

• 重心が高い場合、少ないバンク角で遠心力と釣り合いが取れるため、コーナリングがスムーズ。
• 車体を深く倒さずに曲がることが可能。

<ローダウン車>

•   重心が低いため、同じ速度で曲がるにはより深いバンク角が必要。
•   ただし、バンク角の限界が低下するため、パーツ接地のリスクが高まり、攻めた走りができない。

ローダウンを検討する際の注意点

ローダウンにはメリットがある一方で、コーナリング性能への影響を最小限に抑えるために次の対策が重要です

1.  ローダウン幅を最小限にする

(必要最低限のローダウンにとどめることで、バンク角の限界を確保します。)


2. サスペンションの再調整
(ローダウン後に適切なサスペンションセッティングを行い、車体挙動のバランスを整えます。)

3. ライディングフォームの工夫
(体重移動を積極的に行い、車体をしっかり倒して旋回できるようにします。なおかつ接地しやすくなるのでそれに対しての準備も必要です。)

シートが高めの設定のバイクは、曲がるのに苦労しない

ローダウンは足つきを改善し、安心感を向上させる一方で、コーナリング性能やバンク角の限界に影響を及ぼします。重心は低ければ低いほどよいというわけではありません。シートが高めのバイクは、実はあなたの味方かも。カーブでそんなに頑張らなくても普通に曲がってくれるからです。

特に大型バイクのライダーに多いと思いますが、足つきが不安なので、シートを削ったり、ローダウンリンクやサスペンションで可能な限り低くしたいと考えることは多いと思います。

しかしこの状況で走行を続けていると、特に仲間内のマスツーリングなどでなんとなくペースが上がってきたときに、思わぬ車線逸脱やオーバーランに繋がりやすく、それが事故に直結するケースが多くあります。

まとめ:足つきと走行性能のトレードオフを理解しよう

低くするとその分曲がりにくくなる、このトレードオフを理解し、自分のライディングスタイルに合わせたバランスの取れた設定を目指しましょう。

足つき第一で考える際の注意点として、ローダウンは便利な解決策ではありますが、そのままでも乗りこなす技術や要領を得ることも選択肢に入れてみてください。バイクの本質を知り、安全かつ快適なライディングを楽しみましょう!